第25話 人気者と初の部活動
「君たち部活をするから今日の放課後例の教室に集まりたまえ」
ある日の放課後俺と岩尾は生物の授業後に立花先生に残るよう指示された。
「何するんですか」
「おや?随分と聞き分けがいいんだね」
「俺のことを何だと思ってるんですか」
「仕方ないんじゃないんですか?事実、ひねくれそうな顔してますし」
そういいながら横でクスクスと岩尾が笑う。
「二人は、随分と仲いいんだな。まぁ、それは置いといて君たちはまだ他の部員達にはあったことはなかったよね?」
「そうですね。入部して一か月半くらい経ちますけど部活活動したことないですからね」
岩尾の言うように入部してから一か月半経とうというのにも関わらず授業以外で立花先生と会話をした覚えがない。
「ちょうど三人とも今日は学校に来ているから顔合わせでもしようじゃないか」
「私は問題ありません」
「自分も大丈夫です」
「じゃあ、そういうことでよろしく」
「翔野さん行きましょう」
「ん」
ホームルーム後に岩尾に声をかけられるのもだいぶ慣れてきた。が、相変わらず周りの目は殺気を帯びている。
お前たちも慣れろよ。羨ましいなら岩尾に声をかければいいだろ。
「相変わらず注目度が高いですね」
例の教室に着き先生たちを待っていると突然岩尾が切り出した。
「誰のせいだ誰の」
「まぁ、慣れたものでしょう?」
「お前が他の男子とも分け隔てなく接してくれれば慣れる必要はないんだけどな」
岩尾が男子と話しているところはあまり見ない見たとしてもプリントの提出など業務連絡程度のものだ。
俺の知らないところで話してるかもしれないが。
「いきなり体に触れてくる男性はちょっと仲良くしたくないですね」
「全員が全員そうではないだろ」
「そうかもしれないですけど、やっぱりこっちから話しかけるのは遠慮したいですね」
「なら俺にも遠慮してくれ」
「それはちょっと難しいですね」
「おい」
岩尾がクスクスと静かに笑う。
最近は、よく笑うのを目にする。それだけ、楽しく過ごせているのだろう。
まぁ、その殆どは俺を揶揄って笑っているが。
「にしても、先生遅いな。人を呼び出しておいてこんな待たせるか?普通」
「置き手紙にも遅くなるって書いてあるからもう少しかかるんじゃないですか?」
俺たちが教室に使うと机の上に置き手紙があった。内容はこうだった。
やぁ、ちゃんと翔野くんは来たのかい?
まぁ、来てなかったら家まで向かいに行くからいいが、
私はちょっと他の3人に声をかけたり授業準備などで忙しく遅れるだろうから少し待っておいてくれ。 立花
だから、俺のことなんだと思ったんだよ。
「いや〜、すまない、すまない。待たせたね」
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