第23話人気者とゲームセンター
朝食もほどほどにパン屋を出た。
「ここからどうするんだ?」
「特に何も考えてないのでとりあえずぐるっと回りましょうか」
岩尾の隣を歩いているとこいつが視線を集めていることがはっきり分かる。容姿だけでも視線を集めるだろうにそれに輪をかけてさっきから笑顔のせいで余計視線を集めるのだろう。
また、俺に妬み嫉みや不審な目線が集まるのも当然なことである。
「慣れてくださいね」
「何にだよ」
2階をぶらついていると岩尾が不意に話しかけてきた。
「視線を集めることですよ。これから私と一緒にいることも増えると思いますしそうなれば、外では今みたいな視線を集めますからね」
「そうだな、けど俺は人の目とかあんまり気にしないから問題ないな。ちょっと、そこのゲーセンやってもいいか?」
横を見ると岩尾が見当たらなく後ろを振り返ると数は後ろで立ち止まっていた。
「どうした?そんなところで止まったら人の邪魔になるぞ」
「え?あ、うん。ゲームセンターですか?何か欲しいものがあったんですか?」
「まぁ、ちょっとハマってるゲームのグッズがあってな」
そう言って一つのクレーンゲームに近づく。
「これ、どうやって取るんですか?」
「キーホルダーの袋の上にリングがついてるだろ?それにクレーンのフックを引っ掛けて取るんだよ」
「なるほど。これ、ほとんど運任せなのでは?」
「まぁ、大体はな、でもクレーンの位置とかも関係してくるから一概に運任せとは言えないんだよ」
ひとまず100円を入れ一回やってみる。なるべく目的のものに多くフックが近づくようにアームを操作する。
「すんなりと取れましたね」
「今日は運がいいみたいだな」
「私もやってみていいですか?」
「別にいいけどこのゲーム知ってるのか?」
「いや、知らないですけどクレーンゲームをやってみたいなと」
「なるほどね」
ゲームセンターのスタッフを呼び取れた景品を取ってもらい岩尾に順番を回す。
「今当たったじゃないですか!?」
「見事に弾かれたな」
挑戦すること十数回一度も取れずにいる。
「金使いすぎだそのくらいにしとけ」
「でも!」
「いいから行くぞ」
諦める気配がないため岩尾が持っていた財布を奪い取り先に歩き出す。
「なんであんなに取れないんですか。翔野さんは簡単に取りましたよね?」
「強いていうなら慣れだろ。俺は土日とかよくゲーセンに行くからあんな感じのやつは、よくやるんだよ」
「いつかリベンジします」
「そうか、頑張れ」
「何他人事みたいに言ってるんですか?翔野さんが教えてくださいよ」
「なんでだよ」
「さっき楽しそうに笑ってたじゃないですか。なので今度ゲームセンターに連れて行って取り方など教えてくださいね」
「いつかな」
一度言い出すと引かないだろうから仕方なく了承する。
「絶対ですよ。次はどこに行きましょうか。他に行きたいところはありますか?」
「帰りがけに本屋に寄りたいくらいだな」
「分かりました。なら、先に私の行きたいところに行きましょう」
そう言って岩尾は俺の腕を掴み歩き出す。
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