第22話人気者とパン屋
「翔野さん出かけましょう」
「なんでだよ」
自室から出た俺の目の前には出かける準備を完了させた岩尾がいた。
「この格好なら早めに起きて一度部屋に帰って着替えてきました。ソファーの寝心地は良かったですよ」
昨夜も泊まると言った岩尾にはソファーで寝てもらった。
2日連続は腰が持たん。
「それは良かったが俺が聞いているのはそこじゃねよ。なんで、お前と出かけないといけないんだよ」
「別に断ってもいいですけど月曜日に学校で誘いますから」
「最近よく脅すよな」
「翔野さんが素直に応じてくれないので」
「どこに行くんだ?」
「素直に応じてくれるんですね。目的地は最近できたデパートです」
「分かった。準備するから少し待ってろ」
「分かった」
明るく返事をする岩尾をよそに外出用の服に着替えるために一度自分の部屋に戻る。
服を適当に見繕い着替えて部屋を出る。
「デパートに行って何するんだ?」
「特に目的はないですよ。ただちょっと見て回りたいなと。今ならできたばかりの時よりも人も空いてるでしょうから」
「んじゃ、行くか」
荷物をまとめ外出の準備を完了する。
休日だし絶対に学校の奴らがいるだろうが他人の空似でなんとかなるだろう。
学校とは逆方向のバスに乗り揺られること15分目的地に到着した。
オープン当初からしばらく経っているとはいえ休日のためかなりの人数がいた。
「どこから見るんだ?」
「とりあえず一回から順番に見て行きますか」
このデパートは3階建てになっており食品売り場、フードコート、服、雑貨屋、など多くの店がある。
「どこから見るんだ?」
「そういえば私たち朝食食べてませんでしたよね」
「完全に忘れてたわ。じゃあ、腹ごしらえからだな」
近くの案内板を見ながらどこで朝食を食べるか相談をする。
「2階にパン屋がありますよ。ここにしませんか?」
「そこにするか」
「何がありますかね?チョコチップメロンパンありますかね?あと、コロネとか」
「パン屋だし一般的な種類はあるだろ。あとは、その店特有の種類とか」
「どんなパンがあるのか楽しみですね」
そう言ってパン屋に向かう岩尾の足取りは軽く声が弾んでいた。
各々好きなパンと飲み物を購入してパン屋の中にあるイートインコーナーに腰をかける。
「翔野さんは、何を買ったんですか?」
「ハムトーストとコーヒー」
「男子高校生がそんなに少なくてお腹すきませんか?」
「朝はそんなに食べない派なんだ。で、そっちは誰にしたんだ?相当迷ってただろ」
想定していたよりもパンの種類が多かったのだろう俺が席がついた後もパン屋の中をぐるぐると回っていた。
「アップルパイとアップルティーにしました」
「チョコ系じゃないのかよ」
向かう道中チョコが使われているパンの種類を多く挙げていたからその系統だと思っていたが違ったらしい。
「チョコ系にしようと思ったんですが、種類が多すぎて選びきれませんでした」
「なんだそれ。とりあえず食うか、いただきます」
「笑われたのが気になりますけど、いただきます」
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