第14話人気者と順位
「翔野入学試験の結果見に行こうぜ」
HRが終わるや否や俺の席に来た。
今日から1週間廊下に順位が張り出されるためそれを見に行こうと言っているのだ。
「断る」
「いいから行くぞ」
正直どうでも良かった自分が何位なのか知られているからだ。
「マジかよ…」
順位表を見た飛羅廼は驚愕していた。
品行方正、成績優秀で有名な岩尾が1位ではなく2位だったのだ。
「岩尾さんより頭いいとか一体誰だよ」
岩尾を抑え1位となった生徒の名前は書かれていなかった。希望者は名前を伏せてもらうことが可能なのでそのためだろう。
「気は澄んだか?帰るぞ」
「まぁまぁ、そう急ぐなよ。お前の順位を見ていない」
「それならいくら見ても見つからないぞ」
「なんだよ名前伏せてんのかよ何位だったんだ?」
「お前より上詳しい順位は言わない」
「お前さ授業寝すぎな」
1限目の授業が終わり飛羅廼が俺の席に近づいてきた。
「いいだろ別にやることはやってる」
実際配布されたプリンはやっていた。
理解できていることを説明されても暇なだけで真面目に聞こうと言う気が起きない。
「こんな不真面目な奴が俺より頭がいいなんて信じられねぇ」
「それが現実だ受け止めろ」
時は流れ昼休みになっていた。
「朝飛羅廼さんも言ってましたが翔野さん寝すぎですよ」
「別にいいだろ理解してるんだから」
「家で予習しているんですか?」
「予習にしては早すぎるし辛すぎる」
「それはどう言う…」
岩尾の発言を遮るように教室の扉が勢いよく開けられた。
「やっほ、2人とも入部届を持ってきたよ」
そう言うと立花先生は俺たちに入部届を差し出した。
「それに学年、組、出席番号、名前を書いて担任の先生に判子をもらったら私に持ってきてね」
「分かりました」
「それじゃよろしくね」
教室を出て行った立花先生にどこか違和感を覚えた。
「立花先生この前と口調が違いましたね」
「確かにそうだな」
岩尾の発言に自分が感じた違和感に納得がいった。
「それはそれとして翔野さん学年順位は何位だったんですか?名前を伏せていたようですが」
「飛羅廼より上それ以上はノーコメント」
「飛羅廼さんより上となると1位ですか」
「なんで断言できる」
「確か飛羅廼さんの順位は15位でしたよね?それより上で名前を伏せていたのは11位と1位だけでした。11位の人と交流があるので誰か分かります。なので結果残ったのは1位だけです。ちなみに11位は桂木さんです」
「なるほどな。てかよく飛羅廼の順位覚えてたな」
「一応上位15人の名前は覚えてますよ」
そう岩尾はあたかも当たり前のように言う。
「すごいな俺は覚える気すら起きないわ」
「自分より下に興味はないと?」
「そんなんじゃねぇよ。ただ必要性を感じないだけ」
「なるほど。次回は、負けませんからね」
「俺に勝つのは無理だぞ」
「それはどう言う意味ですか?」
すると岩尾は少しだけ頬を膨らませた。
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