第13話人気者と勧誘

 岩尾の料理テロから数日経ったある日の昼休みいつも通り空き教室で弁当を食べていた。

「そういえばペア学習の相手決まりましたか?」

「あぁあの世界史と英語の合同課題とか言うやつか」

「そうです」

 前日の英語の授業で与えられた世界史と合同の課題で日本以外の好きな国を選びその国の歴史を英語でレポートを男女ペアで制作すると言うものがあった。

「お察しの通りまだ決まってないよ」

 若干苦笑気味で返答する。

「そう言うお前はどうなんだよ?お前は選び放題だから気にする必要ないか」

 あれだけ人気なんだひくて数多だろう。

「組みたいと言う人は多いんですがどうも下心が…」

「丸出しで虫唾が走るほどに気持ち悪いと」

「そこまでじゃないですよ!そこまでじゃないですけど苦手意識と言うか何というか」

「人気者は大変だな」

「そこで私とペアを組んでください」

「ん、分かった」

「え?」

「なんだよその間抜けな声は」

「いや、翔野さんのことだから断られるとばかり」

「さっきも言ったがペアの相手いないしなんなら声をかける候補すらない状態だぞ?断っても損しかない」

「そんなこと胸を張って言わないでください」

「それより俺と組んでめんどくさい事になるぞ」

「私はかまいませんけど翔野さんこそいいんですか?」

「話した事ないやつと組んで課題する方がめんどくさい」


 その後はどこの国を調べるかを決めた。

「そろそろ教室に戻りますね」

「おう」

 岩尾が座っていた机から離れドアに向かって歩き出した時だった。

「疲れた!やっと一服できる」

 立花先生が入ってきた。

「おや?君たちなんでここに居るんだい?」

「昼飯を食べてました」

 冷静を装っているが内心焦っていた。

 伝えられていないが原則として生徒が授業以外で自教室以外を使うのは禁止されているからだ。

 最悪知らなかったで乗り切るか。

「君たち授業以外で他教室を使うのは原則禁止だぞ」

「そうだったんですか。すみません」

 謝罪をして教室をでるために荷物をまとめる。

「翔野君よく話を聞かないって言われないか?」

「何が言いたいんですか?」

「時に君たちもう部活に入ったのか?」

「まだですけど」

「私もまだです」

「なら私が顧問をしている生物部に入りたまえ」

「嫌です」

「何悪い話ではないと思うがな。入部すればここの利用を許可しよう」

「そんなことができるんですか?」

 岩尾も疑問に思ったのだろう。いかに教師といえどそんなことが可能なのだろうか?

「部としての規定は顧問がいて部員が4人以上いることだ。その条件を満たせば空き教室を部室として利用できるんだよ」

「でも私たちが入っても2人ですよね?あと2人はどうするんですか?」

「すでに3人いるんだよ今は休学中だがね」

 正直悪い話ではないが部活の内容と時間がわからない以上下手に返答できない。

「ウィンウィンだと思うがな?君たちは昼休みにここで静かに過ごせる。私は部を成立できる。それに部活では滅多に放課後に残ることはないよ」

 なぜだかこの先生には考えていることを見透かせれている気がする。

「人間も生物だからね。心理学や読心術を学んでいるんだよ」

「人の心を読まないでください。入部しますよ」

 なぜこうも身近に心を読むやつ多いんだよ。

「私も入ります」

「では明日入部届を持ってくるよ教室に持っていくと大騒ぎになりそうだしね」

 こうして入部が決定した。

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