第12話人気者と料理
そんなこんなで岩尾と近くのスーパーに買い物にきたわけだが早速大ピンチを迎えた。
クラスメイトに岩尾と一緒にスーパーに入店したところを発見されはなしかけられた。
完全に油断していた。なんで平日のスーパーに高校生がいるんだよ。カラオケでも行っとけよ。
「なんで岩尾さんと翔野くんが一緒にいるの?まさか二人ってそう言う…」
「違う。すぐそこでたまたま会っただけだ。それ以上でもそれ以下でもない」
「そうなんだ。最近二人とも仲良いから付き合ってるのかと思ったよ。それじゃまた学校でね」
間一髪だったな。
「買い物の続き行くか」
「はい」
岩尾の返事の声がいつもよりトーンが低い気がしたのは気のせいであってほしい。
購入したオムライスに必要なものを袋詰めし店を出ていた。
「結構買いましたね」
そう言いつつ岩尾は両手にある買い物袋を少し揺らす。
「それはお前だけだ」
「仕方ないじゃないですか。醤油とかの調味料が安かったんですから」
「だからって買いすぎだろ」
岩尾の方に持っていた荷物を反対に持ち直し岩尾の荷物を半ば強引に奪い肩に掛ける。
「ありがとうございます」
「料理手伝えよ」
「はい」
「なぜ、オムライスを作るだけでこんなに疲れなきゃいけないんだよ」
「すみません」
ただいまの時刻午後9時家に帰りつきオムライスを作り始めて約3時間が経過していた。
本来は米を炊くのに1時間ほどかかるもののオムライス自体は30分もあれば作れるはずだ。
なのに
当然砂糖と塩も間違えた。入れてある容器は別で事前に注意したのにも関わらず。
「お前なんで自分で作るなんて言った。どこからあの自信はきたんだよ。それに今日弁当だったよな」
「すみません。最近料理は少し慣れてきてたんです。でも家の外に持ち出せるほどの完成度じゃなくてお弁当の中身は、ほとんど冷凍食品だしクッキーも市販のやつで…」
「今までどうしてたんだよ」
「惣菜で済ませてました」
「オムライス作るから見てろ」
「ありがとうございます」
いつもやっているようにオムライスを作る。
ちょいちょい横から「おー」だの「わぁ」だの小さく聞こえて気が散りまくった。
「本当に料理できたんですね」
「人のことなんだと思ってるんだよ」
「い、いえ別に馬鹿にしてるわけじゃなくて」
焦ったようにブンブンと手を振り否定する。
「だって昔は…」
岩尾は小さく呟いた。
「悪い聞こえなかった。なんて言った?」
「気にしないでください。そんなことよりもまた料理教わりに来ていいですか?」
「俺の部屋を火の海にしないと誓えるなら」
「流石にしませんよ!」
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