第11話人気者の隣人
蜘蛛騒ぎも落ち着き放課後となった。
「翔野さん行きましょう」
岩尾がHRが終わるなり話しかけてきた。
「ちょっと待て」
明日使わない教科をバックに突っ込む。
クラスのほぼ全ての視線が俺たちに向けられていた。
「岩尾さん最近こいつと仲良いね」
昼休み前に話しかけてきた男子が岩尾に話しかけていた。
「はい、ちょっと色々ありまして」
「へぇ〜色々ね。何か困ってるなら相談乗るから」
こいつ俺が無理やり仲良くさせてるとでも言いたいのか?
「ありがとうございます。伊沢さん」
こいつ伊沢とかいう名前なんだな。初めて知った。学校出るまでは覚えとくか。
「翔野さん行きましょう」
「うい」
「ちゃんと返事をしてください」
「ハイハイ」
「返事は一回でいいのですが」
「言い直させてる時点で一回じゃない気がするんだが」
「何か言いましたか?」
「いや何も」
めちゃくちゃ睨まれた。
そんな会話をしつつ下駄箱へ向かう。
「やっぱり、一旦帰って着替えてもいいですか?」
他の生徒に聞かれると騒がれるからだろう岩尾が小声で話しかけてきた。
「おう。てか、お前徒歩か?」
「いえ、バスですね。翔野さんは?」
「俺もバスだ」
嫌な予感がする。こういう時だけは、よく当たるんだよな。
「どうかしましたか?」
「いやなんでもない」
不安を感じながらもバス停に向かった。
「お隣さんだったんですね?」
クスクスと笑いながら岩尾が問いかけてくる。
「俺も今知ったんだよ」
話は数分前に遡る。
バス停に着き自宅の最寄りのバス停に向かうバスを確認していると同じバスであることが判明した。
ここまでは良いここまではなんで同じマンションしかも隣なんだよ。
「着替えてきますね」
「あ、あぁ」
さてどうするか。学校の奴らにバレることはないだろうから良いか。
とりあえず着替えて冷蔵庫の中身を確認するか。
「何もないよな」
適当な部屋着に着替え冷蔵庫の中身を確認したらやはり、何もなかった。
昨日あらかた使い切ったことすっかり忘れていた。
ピンポーン
玄関のチャイムが鳴らされた。
岩尾が着替えを済ませて来たのだろう。
玄関まで向かいドアを開ける。そこには予想通り岩尾が立っていたが、
「なんで体操服」
「すみません服が汚れると思ったので、もしかして臭いますか?一応消臭剤をかけて来たのですが」
「臭いはしないが、まぁ良いわ。悪いけど材料がないから買いに行く俺の部屋でも自分の部屋でも良いから待っといてくれ」
「分かりました。あ、少し待っててください」
そういうなり岩尾は自分の部屋に戻って行った。
どうしたんだ?あいつ。
「5分ほど待っててください」
戻って来たかと思えば一言告げてまた戻ってしまった。
おい、まさかこの流れ。
「お待たせしました」
岩尾は5分ぴったりで出てきた。着替えを済ませて。
「では、行きましょうか」
岩尾は自分の部屋を施錠して俺の前を歩き始める。
「一応確認なんだが俺と一緒に買い物をする気じゃないだろうな?」
「そのつもりですが?着替えるなら待ちます」
ですよねぇそんな気はしてた。うん。
「いや、いい」
大体予想していたから着替えは済ませてあった。と言ってもズボンを履き替えただけだが。
「では行きましょうか」
前を行く岩尾の後を追う形で買い物へ出発した。
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