第7話人気者とハプニング
「最後の試合が始まるので準備しましょう」
岩尾と他愛ない話をしているうちに最後の試合の時間が迫っていたようだった。
先生の指示に従いコート内に入る。
前半は、何事もなく岩尾や飛羅廼たちが相手のコートにボールを一方的に入れるかたちでゲーム進んだ。
残り試合時間が半分を切った時に事件が起きた。
相手が打ったボールを飛羅廼が力を受けきれず軌道が変わり岩尾の方に飛んだのだ。
「ヤバイ」
急いで庇いに行く。
腕を引っ張り岩尾の顔にボールが当たるのを反対の手で防ぐ。
「怪我はないか?」
そう問いかけ覗いた岩尾は顔をしたに向けていた。
助けられたとはいえ腕を引っ張ったことで男子である俺が至近距離にいるのが怖かったのだろう。
俺が岩尾から離れようとしたとき岩尾が怪我をしそうになったと聞き付けた男子生徒たちが岩尾を囲んだ。
「岩尾さん大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ」
男子生徒に囲まれ戸惑いながらも怪我がないことを伝える岩尾を一目見たあと教師に詳しい事情を説明しに行く。
「わかった。岩尾の方は怪我はなさそうだが君の方は怪我はないか?」
「特にないです」
「それは良かった。しかし、片手でボールを弾くとは良くやったな」
そう言いながら女性教師は俺の背中をばしばしと叩く。
痛てぇ何回叩くんだよ。
「君は試合でほとんど動いてないから減点しようと思っていたところだが減点はしないでおくよ」
「別に動いてもなかった訳ではないですよ。他の人が良く動くから邪魔にならないようにサポートに回ってたんですよ」
「仕方ない。そう言うことにしておくよ」
そう言うと女性教師は不敵に笑って体育教官室に入っていった。
あの先生には、何故か見透かされてる気がする。
「戻るか」
他の生徒たちが集まる方に向かう。
「やったなヒーロー」
戻る途中で飛羅廼がニヤニヤしながら話しかけてきた。
「別にヒーローではないだろ。たまたまボールを弾けただけだろ」
「またまた謙遜して」
「うるせぇ」
岩尾の方に目をやるとまだ多くの男子生徒たちに囲まれていた。
あいつも大変だな。
「お、気になるのかヒーロー」
「やめろ」
飛羅廼がにやつきながら話てきた。
「まぁ、実際助かったよ。俺のせいでボールの軌道が変わったんだしあのまま岩尾さんに当たってたらこの場にいる男子に殺されかねん」
「そう考えると庇わなくて良かったかもな」
「ひどいな友達を見殺しにするのかよ」
「お前と友達になった覚えはない」
「おいおい友達は自然となってるもんだぞ」
「うざ」
ため息をつき壁に背中を預けて座り込む。
「翔野さん」
不意にここ最近よく聞く声がした。
「さっきはありがとうございます」
「どういたしまして。怪我とかはないか」
「はい、おかげさまで」
そんな話をしていると集合の声がかかった。
「行きましょうか」
「うい」
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