第4話人気者の救助
そこからは、30分ほど雪芽の昔の話を聞いた。昔何があったのか、何をされたのか、今雪芽自身が今どんな状況なのか。
『ありがとうございます。こんな暗い話聞いてくれて』
『聞くと言ったのは俺だ。お礼は言わなくていい』
『はい、それじゃあまた、学校で』
『おう』
会話にひと段落ついたところで俺はスマホに充電器を挿して枕元に置きベットに入る。
その日は、なかなか寝付けなかった。ぼーっと天井を見つめているとスマホが鳴った。通知を見ると雪芽だった。そこには『学校で私を助けて欲しい』と表示されていた。
気がつくと朝になっていた。
家にある時計を見ると6時を挿していた朝食を食べ少しゆっくりした後7時頃に家を出る。
学校に着き自分の教室に入ると俺の席が無かった正しく言うなら俺の席に別のやつが座っていて座れる状況になかった。
「ちょっといいか。座りたいんだけど」
「あぁ、わるい」
俺の席にいた奴に声をかけて退いてもらい席に座る。
今さっきまで人が座っていたせいで椅子が人肌程度温まっている。
「気持ち悪い」
そう小声で呟く。
「人気者の隣席は大変だな」
いつの間にか前の席に知らない奴が座っていた。
「俺は
そんな彼を気にすることもなくバックの中身を机の中に詰める。
「あれ?無視?ひどくね?」
「知らない人と話すなと教えられてるから」
「じゃあ岩尾さんとは知り合いなのか?」
ニヤニヤしながら飛羅廼が問いかけてくる。
「はあ、何か用か?」
ため息をつき多少雑ではあるものの話を逸らす。
「話逸らしたな。まあいいんだけどさ。別に用はないけどただお前と話したかったんだよ」
「なんだよそれ気持ち悪い」
そんな事をぼやきながら横目で雪芽の方を見る。
どうやら髪が綺麗と褒められているようだった。
すると、一人の女子生徒が雪芽の髪を触った。それと同時に雪芽の体が小さく跳ね震えていた。
「助けたいのか?」
飛羅廼が俺に問いかけてきた。
俺は何も言えなかった。
「バレバレだぞ」
そう言って飛羅廼は席を立って雪芽を囲んでいた者たちに声をかける。
「もうすぐホームルームの時間だから席に戻ったほうがいいぞ」
それを聞いた者たちは時計を見るや否や続々と席に戻っていった。
「頑張れよ少年」
ニッと笑い俺の肩を叩き飛羅廼は自分の席に戻って行った。
何を言ってるんだあいつは。
「ありがとうございます」
「俺は何もしてない。あいつが勝手にやった事だ」
「でも、」
「ホームルーム始めるぞ」
雪芽が何かを言おうとした時ちょうど担任の
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