第2話人気者の秘密
登校初日なだけあって授業は無く入学式の後校内の案内、プリント配布のみで午前中に下校となった。
「最悪だ」
帰宅途中に音楽を聞こうとバックの中を探したがスマホがないどうやら学校に忘れてきたようだ。
「取りに戻るか」
明日まで置いていても良いのだがスマホがないと何かと不便なので来た道を引き返し取りに行くことにした。
学校に着き教室のドアを開けた先の教室には一人の女子生徒が残っていた。
「どうして…」
岩尾は慌てたように捲り上げた袖を下ろし手に持っていたカッターを机の中にしまった。
袖を下ろす時に見えた手首の傷に胸が痛み黒い何かが渦巻くような感覚がした。
その事を考えないようにして真っ直ぐ自分の席に向かい机の中からスマホを取り出して教室を後にした。
岩尾の呼び止める声を無視して。
次の日、全ての授業が初めての授業だったため先生の自己紹介一年間の授業予定などまともに授業をしなかった。
何事もなく今日が終わる。
「少し良いですか?」
前言撤回。一言で爆弾を投下しやがった。
幸い後ろから呼びかけてきた別の人だと思ったことにしよう。
「翔野さん少し良いですか?」
名指しになった。
「何か用?」
「クラスのグループを作っていて招待したいのでLAIN教えてください」
「あぁはい」
断っても良いのだが流石に空気が悪くなる恐れがあったため大人しく連絡先を交換しておいた。
交換したらしたで妬み嫉みの視線を向けられた。主に男子から。
「ありがとう。招待しておきますね」
岩尾からのグループへの招待を承諾しておいた。
「それじゃ」
「はい。また、明日」
そう言うと岩尾は微笑み手を振った。
それに俺は軽く会釈をして教室を後にした。
彼女の微笑みを見て人気な理由が少し分かった気がした。
家に帰りつきもろもろやってあとは寝るだけでとなった。
深夜1時を回ろうとしているのにも関わらずスマホから通知を知らせる音がなった。
通知を見るとLAINだった。誰からなのか予想できたが念のためアプリを起動して確認する。
予想通りの人だった。
要件を確認するため岩尾とのトーク画面を開いた。
『夜遅くにすみません』
『入学式の日のことで直接話したいのですが明日時間よろしいですか?』
一応話しておいたほうがいいだろう。
『わかった。放課後でよければ』
『わかりました』
どうやら入学早々大きな問題を抱えることになりそうだ。
翌日HRが終わり荷物をまとめていると岩尾が話しかけてきた。
「翔野さん行きましょうか」
「わかった」
俺と岩尾はざわつく教室を後にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます