グラーフの滞在理由(エピソード主役:グラーフ)
人形遣いのグラーフは、甘いはちみつ亭で1週間を過ごし、滞在を延長した。
タニアやタリアは、その間、グラーフと話をする機会が多かった。
それによれば、グラーフがハルワルド村を訪れたのは、単なる気まぐれらしい。
人形を作れればどこでも良かったので、普通の国スタンガルドの北西の端にあるハルワルド村を訪れてみただけということだ。
実際、グラーフは気分により、ハルワルド村の様々な場所で人形作りを行っていた。
甘いはちみつ亭の2階のグラーフが泊っている部屋や、1階の酒場に誰もいないときは、そのテーブル席で。
(グラーフがテーブル席にいるとタニアは勉強をさぼりにくいので、タリアには大好評だった)
天気が良い日は村の広場や村の中を流れる小川に出かけて、そこで作業することもあった。
また、村の学校で子供たち相手に人形劇の上演も行った。
普段見ない娯楽に子供たちからの評判も上々だったので、評判を聞いた村の大人たち相手の上演も行われたくらいだ。
・・・
そうして、グラーフの滞在期間がもうすぐ2週間になるという頃。
タリアはいつものように2階の各部屋の掃除をした。
グラーフは自分の部屋の扉を開けて、ちょうど掃除を終えて1階に戻るために廊下を歩いているタリアに声をかけた。
グラーフ「タリアちゃん、ちょっといいかな? お願いしたいことがあるんだけど」
タリア「はい、なんでしょうか?」
グラーフ「あぁ、それなんだけど…」
グラーフは話ながら目線を動かし、タリアの頭に目を留めた。
グラーフ「おや、髪にゴミが付いているよ?」
タリア「え? そうですか?…身だしなみを整える暇も無くて、すみません…」
グラーフ「いや、気にしなくていいよ。掃除をしてたんだから、当然でしょう。じっとしてて。取ってあげるから」
グラーフはタリアにゆっくりと近寄り、タリアの頭に手を乗せた。
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