冒険へ出発(エピソード主役:タリア)

その日も、特に不吉の予兆になるような事は何も無い、普段と変わらないごく普通の晴れた日だった。


今は、冒険に出かけるミシア達エスウィングを、ライラとタニア・タリアが送り出すところだ。


ライラ「皆様、お気を付けて~」

ルディア「ええ、ありがとうございます」

ケニー「ここら辺の魔物にはもう慣れましたから、問題ないと思いますよ」

アーキル「油断は禁物だがな」


タリア「お姉さまも、無茶はしないで下さいね」

ミシア「大丈夫だって」

アーキル「すぐ調子に乗って危ないことをするがな」


タニア「おねえちゃん、早く帰って来てね」

アーキル「山の方へ遠出するから、だいぶ遅くなると思うがな」

コノハ「そういう言い方しないのっ」

コノハがアーキルの耳を引っ張る。


タリアはふとミシアの頭を撫でた。

なにせミシアの方が背が低いから、自然とそうしてしまったのだ。

ミシア「わっ、なにするの?!」

タリア「あっ、すみません、お姉さま。つい…」

ミシアはちょっと驚いた。

そして、驚きを隠すようにぷりぷり怒り、逆襲を思い付いた。

ミシア「こらタリア、そういうのはお姉ちゃんの役目だよ!…ほら、しゃがんで!」

タリア「はい、お姉さま」

タリアは素直に跪いた。頭の位置がミシアより低くなる。

ミシアはタリアの頭をよしよしと撫でた。


ポッと嬉しそうな顔を見せるタリア。それをじーっと見つめるタニア。


ミシア「ほら、タニアも」

タニア「うん!」

ミシアが呼びかけると、タニアは嬉しそうにミシアの前にしゃがみこんだ。

ミシアはタニアの頭もよしよしと撫でる。


ミシア「それじゃ2人とも、仲良くお留守番しててね」

そう言うと、ミシア達(オーメムも含む)は、いつものように出発していった。


タニア「行ってらっしゃーい!」

ミシア達に向かって手を振るタニアの横で、タリアは遠ざかるミシアの背中を見続けた…。


それは9月のことであった。

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