第1章 行方不明事件発生

ミシア登場

ミシア「ボクが!看板店長のミシア!です!」

タリア「きゃー!お姉さま~、きらきら~♪」

タニア「きゃー!おねえちゃ~ん、きらきら~♪」

エルフ人女性「きゃー!ミシア~!きらきら~!」


宿酒場『甘いはちみつ亭』の1階の酒場に、いつものようにミシア達の元気な声が響き渡った。

背の低いミシアだが、両足を肩幅くらいに開いてどっしりと床に立ち、拳を腰に当て、えっへんと薄い胸を張る。

ミシアの右側ではタリアが片膝をつき、両腕をミシアの方へ伸ばして、指を大きく開いてひらひらと手を振る。

ミシアの左側ではタニアが同様の姿勢と動きをしている。

タニアとタリアは左右対称の髪型をしており、サイドテールがちょろんと外側に出て揺れている。2人が着ているピンク色の給仕服と相まって、とても可愛らしい。

さらにミシアの背後にエルフ人の女性が立ち、手をミシアの頭の両側にかざして、ひらひらと振っている。

合計で6つの手がミシアを囲んで星のように瞬いている。


これはミシアが気に入っているポーズだ。ミシア曰く「きらきら演出」。

これを見せている相手は、ミシアの冒険者仲間たち。

昼間の酒場には、(厨房で働いている料理人のライラを除けば)ミシアが所属している冒険者パーティー『エスウィング』の仲間しかいない。

彼らは冒険の合間の休養期間中なので、今は酒場のテーブル席に座ってくつろいでいた。


アーキル「はあぁー…またか」


重剣士のアーキルは、その巨体に見合った大きな溜息をついた。

何かにつけてミシアはこのポーズをとるので、ミシアの冒険者仲間には見慣れた(見飽きた)ポーズなのだ。


ルディア「でも、今日はいつもより豪勢ですよ?」


ルディアはエスウィングのリーダーで、軽剣士。セミロングの水色の髪が美しい美少女だ。彼女だけは、ミシアのきらきら演出を見て、目を輝かせて喜んでいる。


ケニー「確かに、新しいメンバーが加わっていますね」


回復魔法を操る回魔士であるケニーは、ミシアの背後に立っているエルフ人女性について冷静に指摘した。彼女は今までのきらきら演出には居なかった存在だ。

ケニーもミシアのきらきら演出を何度も見ていて飽きてはいたが、アーキルのようなあからさまな態度は見せない。


コノハ「ちょっとあんた!何やってんのよ!?」


コノハは椅子から立ち上がって、ミシアの背後に立っているエルフ人女性に指を突きつけた。

コノハは、ミシアの背後に立っている人物と同じく、エルフ人の女性だ。


コノハが文句を言っている相手である、ミシアの背後に立っているエルフ人女性。彼女の名はオーメム。

少し前にコノハ達はオーメムと対立したが、今は和解している。(とはいえ、対立が一番深かったコノハの感情は複雑だが…)

特にオーメムはミシアを気に入っていた。


オーメムが甘いはちみつ亭に現れたとき、ミシアはタニア・タリアと共に恒例のきらきら演出をして見せた。

オーメムはそれを大層気に入り、自分も演出に加わりたいと申し出た。今回のきらきら演出がそれだ。


オーメム「わらわもやってみたかったんじゃよ。とても良かったじゃろう?」

オーメムは満足そうな満面の笑みで答えた。

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