第11話:力の代償

side:シオン

 目が覚めるとしらない天井・・・ではなく、アヤ達の家の客間(しばらく僕が寝泊まりしていて、実質僕の部屋となりつつある。)の天井が目に入った。どうやら、倒れる直前にお願いしていたとおり、アヤが何とかしてくれたらしい。

「ようやく目が覚めたか。・・・とは言っても俺も丸1日意識を失っていたらしいからあまり人のことは言えんがな。」

 っと、隣から声がした。視線をやるとあの日ぐったりしていたのが嘘のようにピンピンしたスリクさんが椅子に座っていた。本を読んでいたらしく、肘をついているその机には五冊ほど本が積み重ねられていた。

「無事だったんですね。よかったです。」

「三日も寝てたやつに心配されちまうとはな。お前、俺が倒れてから回復魔法寄越しただろう?あれのお陰で随分と軽傷で済んだんだよ。本当に助かった。ありがとうな。」

 スリクさんを逃がすために使ったあれが良い方向に転んだのは何よりだ。

 それより、と軽い笑みを浮かべてスリクさんは続け、

「体に異常はないか?アヤが大体の傷は治しているみたいだが、スピアグリフォンなんかとやったんだ。何かしらの異常が体に残っていても可笑しくはない。」

 そう言われ体をさわって確認しようとして気づいた。

「えっと、右手が動かないです。」

 その言葉でスリクさんの顔から一瞬笑みが消え、茶色い瞳を見開き少し固まった後、

「少し待ってろ。アヤを呼んでくる。」

 と言って慌てて、部屋をでていった。その時、姿はみえなかったが、ミュリナの声が聞こえた気がしたら

『だから代償があるって言っておいたのに。ちゃんと説明しなさいよ?』

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