第2話 セイタイ【ASMR】/あの人の部屋に忍び込んで癒やしてあげたいの

○純一の自室(深夜・春)

   #純一、ベッドでひとりで寝ている。

   #以下のシーン、少し遠い位置(窓の外、橘家の庭)から音が聞こえてくるイメージ。

   SE 発情期の猫の鳴き声。

   #ベランダに現れた裡沙、たまたまそこにいた野良猫とにらみ合い、ボス猫のモノマネで威嚇。


裡沙

「ふぅ~……しゃ~! しゃ~!」


   SE 猫の鳴き声、走り去る猫の足跡。


裡沙

「ふぅ~……庭が猫の集会場になってるから驚いちゃった。」


   SE 窓が開く音。


裡沙

「おじゃまします。」


   #ウキウキした様子の裡沙、窓から部屋に入ってくる。

   #裡沙、主人公を起こさないようにしつつ、耳元で囁く。


裡沙

「また来ちゃった。窓のカギしなきゃダメだって言ったのに、また開いてたよ。」

「少し不用心すぎじゃないかなぁ……。」

「でも、心配しないで大丈夫。あたしがちゃんと守るから。」


「あなたが危ない目に遭わないように、ずっと見守ってるからね。」

「学校でも、できるだけ目を離さないようにしてるんだ。」

「流石に授業中は無理だけど、いつかはなんとかしたいな……。」


「あ、そういえば……今日、お友達とふざけてたら階段で転びそうになってたよね……。」

「あたし、すっごくハラハラしたんだから。」

「もう少しで飛び出して行っちゃうところだった。」


「休み時間も気をつけなきゃダメだよ?」

「あのとき、どこかぶつけたりしてない? ケガとかしてないよね?」

「……身体、少しだけ診せてもらうね……。」


   #裡沙、主人公の身体を触診する。

   SE ゴソゴソと裡沙が主人公の身体をまさぐる音。


裡沙

「うん……足は大丈夫そう……よかった。」

「でも、腰や腕がなんだか強張ってるね……。もしかして、春の新生活で疲れ気味?」

「肩こりもひどそうだし、ストレス溜まってるのかな……。」


「そうだ、あたしがマッサージしてあげる。」

「あなたが辛い思いしてるの、耐えられないから……。」

「ちょっとだけ、身体動かすね? よいしょ……っと。」


   #裡沙、主人公の身体をうつ伏せにする。

   SE 主人公の身体が動き、ベッドが軋む音。


裡沙

「ふぅ……うん、起きてない。大丈夫。」

「ちょっとだけ、うつ伏せで我慢してね。」

「それじゃ、マッサージはじめるよ。」


   #裡沙、主人公の肩や腕をマッサージし始める。

   SE ゴソゴソと裡沙が動く音。ベッドが軋む音。


裡沙

「ふっ……ふっ……んしょ……んしょ……。ふぅ……肩、だいぶ固くなってるなぁ……。」

「こんなになるまで、気づかなくてごめんね……。ふにゃふにゃに揉みほぐしてあげるから。」


   #裡沙、主人公の肩や腕をマッサージし始める。

   SE ゴソゴソと裡沙が動く音。ベッドが軋む音。


裡沙

「えいっ……えいっ……! 気持ちいい? この辺が良いのかな……。」

「んっ……しょ……! よいっ……しょ……!」

「あはっ、寝たままなのに、なんだか気持ちよさそうな顔してる……。」


「あたしのマッサージ、ちゃんと効いてるみたい。うれしいな。」

「……肩や腕はだいぶほぐれたみたい。」

「次は、腰や足も……。」


   #裡沙、急にくしゃみをしたくなる。


裡沙

「ふえっ……ふわっ……キュ、急にくしゃみが……!」


   #裡沙、くしゃみをしてしまう。


裡沙

「……はくしょん! うわ、かかっちゃった……起こしちゃったかも……?」

「よかった、まだぐっすり寝てるみた……ふえっ……ふえっ……!」

「ま、まひゃ(また)……!?」


「ふうっ……こ、こひゃへへ(こ、こらえて)……!」


   #裡沙、また連続でくしゃみをしてしまう。


裡沙

「……はくしょん! はくしょん!」

「あうう……なんで……花粉症の薬、ちゃんと飲んできたのにぃ……。」

「……もしかして、マッサージで興奮して、あたしの血行も良くなっちゃったから……?」


「あ……ま、まひゃ(また)……! ふえっ……ふええっ……はくしょん!」

「うぅ……これ以上くしゃみすると、本当に起こしちゃう……。」

「ごめんね、今日はもう帰るね……。」


「じゃあ、最後に……。」

「んっ……。」


   #裡沙、主人公の頬にキスをする。


裡沙

「キスするとき、くしゃみでなくて良かった……。」

「それじゃ、おやすみなさい。」


   #裡沙、再び窓から外に出ていく。


裡沙

「は、は、はくしょん! う~……。」


   SE 窓が開いて、閉じる音。



《第3話へ続く》


★mimicle(ミミクル)にて配信中★

『ASMRボイスドラマ アマガミ Vol.7 上崎裡沙編』(CV・門脇舞以)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る