ASMRボイスドラマ アマガミ Vol.7 上崎裡沙編

監修・高山箕犀、鈴木悠太(シナリオ工房・月光)/ミミクル

第1話 ミッカイ【ASMR】/あの人の部屋に忍び込んで渡したいモノがあるの

○純一の自室(深夜・冬)

   #純一、ベッドでひとりで寝ている。

   #裡沙、窓の外に現れる。


裡沙

「みっけ」


   SE 窓が開く音。

   SE 風の吹く音。


裡沙

「おじゃましま~す……。」


   SE 窓を閉める音。

   #風の吹くSEが止む。


裡沙

「はぁ~……お部屋の中、あったかい……。」


   #ウキウキした様子の裡沙、窓から部屋に入ってくる。

   #裡沙、主人公を起こさないようにしつつ主人公の横に寝転がると、両肘で頬を支えて主人公の顔を覗き込む。

   SE ベッドの軋む音。


裡沙

「えへへ……あたしが隣で寝転んでるって知ったら、あなたはどう思うかな……。」

「……あっ、そうだ……!」


   #裡沙、主人公を起こさないように起き上がり、ベッドを降りる。

   SE ベッドの軋む音。

   #そっと部屋の扉に近づくと、鍵を閉める。

   SE 軽い足音。

   SE 鍵の閉まる音。


裡沙

「よし……扉の戸締まり完了、っと……。」

「これで、急に美也ちゃんが入ってきたりしない……。」

「安心して、あの人と二人っきりになれる。」


   SE 軽い足音。

   #裡沙、再びベッドの横に戻ってくる。


裡沙

「もう……扉もだけど、窓にもカギしなきゃダメだよ?」

「もしドロボウが入ってきたりしたら、大変なんだから。」

「今度、ちゃんと注意してあげなきゃ……。」


   SE ベッドの軋む音。

   #裡沙、主人公の顔を覗き込みながら、寝息の間隔を測る。


裡沙

「1……2……3……1……2……3……。うん、寝息はいつもどおり。」

「気持ちよさそうに眠ってる……。……寝顔も素敵だよ。」


   #裡沙、主人公の顔を見つめて。


裡沙

「あなたのまつげ、まぶたを閉じてると長くて綺麗。化粧要らずだよね。」

「このことを知ってるのは、あたしだけだよ。……このままずっと、見ていられたらな……。」

「大人になっても、二人がおじいちゃんおばあちゃんになっても、こうしてずっと、あなたの寝顔を見ていたい……。」


「…………。」


   #裡沙、少しの間、吐息を漏らすだけで黙って主人公の寝顔を見入る。


裡沙

「はっ!? あなたの顔に、つい見惚れちゃった……。」

「いけないいけない、今日はもっと大事な用事があるんだから……。」

「ねぇ……今日が何の日か、知ってる? って、寝てたら答えられないよね。」


「今日はね、バレンタイン。大切な人に、チョコを贈る日だよ。」

「……あなたはきっと、いろんな人からチョコもらうよね……。」

「……イヤだけど、あなたの邪魔はもうしたくないから……。」


「でもね、一番はあたしだよ。バレンタインに、最初にチョコをあげるのはあたし。」

「それは、絶対に譲れない……。だからね、こうして日付が変わった瞬間に来ちゃったんだ。」

「チョコもちゃんと持ってきたよ。」


   SE ガサゴソと何かを取り出す音。


裡沙

「ほら、これ。季節限定のポロツキー、ハニーストロベリー味。」

「他の子がどんなに探しても、絶対に見つけられない特別なポロツキーなんだ。」

「……だって、あたしの手作りだもん♪」


「これで試したいことがあるんだ。ポロツキーゲームって知ってる?」

「一緒に咥えたポロツキーを、お互いに端から食べていくんだよ。」

「こんなゲーム考えた人、とってもエッチだよね……。」


「でも、やってみたいと思ったあたしも、エッチなのかも……。」

「けどね、どうしてもあなたとやってみたいって思っちゃったの。」

「だから……いいよね……?」


   #裡沙、箱を開けてポロツキーを取り出す。

   SE お菓子の箱を開ける音。


裡沙

「よし……じゃあ、ポロツキーを咥えさせて……。」

「ごめんね。ちょっとだけ、顔に触るね。」

「あなたは寝てて大丈夫。あたしが、全部済ませるから……。」


裡沙

「……あれ、なかなか上手くいかない……。」

「ほら……これ咥えて……ちゃんと口開けて、噛んで……?」


   #裡沙、なんとかポロツキーを咥えさせようと、主人公の顔の近くでゴソゴソと動く。

   #主人公、顔を触られたことで起きかける。


裡沙

「ひゃっ……!? 今、動いた……! 起きちゃった……?」

「……よかった、大丈夫みたい……。でも、これ以上すると、本当に起きちゃうかも……。」

「ポロツキーゲーム、諦めるしかないかな……。」


「残念だけど、今度はちゃんと、起きてるときにしたいな……。」

「ポロツキーは置いていくね。起きたら食べて。」

「……それと、最後に少しだけ……。」


   #裡沙、主人公の頬にキスをする。


裡沙

「これくらいのキスは、いいよね……♪」

「それじゃ、また明日……おやすみなさい。」


   SE 窓が開く音。

   #裡沙、再び窓から外に出ていく。


裡沙

「さっきは寒かったのに、今は夜風が気持ちいい……。」

「ドキドキしすぎちゃったせいかな♪」


   SE 窓が閉じる音。



《第2話へ続く》


★mimicle(ミミクル)にて配信中★

『ASMRボイスドラマ アマガミ Vol.7 上崎裡沙編』(CV・門脇舞以)

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