第23話
徹底的に、完璧に。
圧倒的な準備量でもって、叩き潰す。
それが僕のやり方であり、どんな犠牲を伴っても必勝の状況を作り上げる。
「ふんふんふーん」
泥沼の人類と魔族の戦争が巻き起こってもうすでに半年。
もはや生き乗っている魔族など両手で数えられ、魔王城は全壊済み。
魔王の驚異的な力でもってすべての人類軍を蹴散らしているが、それでも疲労は蓄積し続けるだろう。
「時は満ちた」
二、三週間にも及ぶ昼夜問わずの攻勢。
圧倒的な数でもって魔王の体力を削り、攻撃し続けた……これ以上の攻撃は不要であろう。
「そろそろ行こうか」
「あっ、ようやく?」
この半年。
半年間待ちぼうけにされ、特にすることもなくダラダラ過ごしていたリーリエは僕の言葉に反応する。
「うん。そうだね……もう良いでしょ、これ以上粘っても仕方ない」
「ふふふ、ようやく我の出番ですがッ!」
「そうだね。キリエは魔法の用意。他の人も戦闘準備。僕の転移魔法で一気に詰めるから」
「了解」
僕の言葉にその他のみんなが頷き……僕もそれに伴って攻撃の準備を進める。
「ほい!すべてを吹っ飛ばせ!『神々の洗礼』」
オレゴスのいた街を吹き飛ばした魔法と同等の攻撃。
『神威』を長きに渡ってようやく落ち着いてきた攻勢が終わり、静まり返っていた魔王の領域たる島へとぶち込む。
「ちっ、死なないか……ちょっとだけ期待していたんだけどなぁ」
神威の直撃を喰らった魔王。
ではあるのだが、それでもなお倒れることなく魔王はボロボロになりながらも立ち上がり、遠く離れた場所にいるこちらの方を睨んでくる。
「跳ぶよ」
魔王が反撃としてこちらに魔法をぶち込んでくるよりも前に転移魔法を発動。
「キリエ、打って」
魔王のすぐそばへと転移してきた僕は一緒に転移していたキリエへと命令を一つ。
それを聞いたキリエは魔法を発動させ、魔王に向かって特大の魔法をぶつける。
「戦闘態勢」
そんな最中、僕は一人で魔王の方へと突っ込んでいく。
「……お前が首魁か」
僕が振り下ろした二振りの短剣。
それをどこからともなく取り出した魔剣で受け止める魔王は僕のことを睨みつけながら口を開く。
「そうだよぉー、よろしくねー」
その言葉に対して軽口で返す僕はある程度の打ち合いをした後、僕は魔王から距離を取る。
「んー、やっぱり一人じゃ無理かな」
少しばかりの打ち合いをした後に引いた僕は率直な感想を漏らすのだった。
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