第19話

 久しぶりに顔を見せると同時にリーリエたちから大量の事務作業を押し付けられた僕。


「なんか普通にこなしていてムカつくわ」


「全然苦しまぬではないか……というか、我らの努力を踏みにじるような圧巻の仕事ぶりを見せつけるのやめてくれぬか?我ら以上の仕事量を我らの十倍少ない時間で済ませるなどもはや人間業ではない」


「な、なんで不正とか虚偽報告とかを一瞬で見分けられるんですか……?後、書類見やすい凄い……」


 そして、押し付けられた仕事を普通にこなしていたら文句も言われるというとんでもない鬼畜っぷり。

 

「キリエも言っていたけど、僕は普通にいつもとんでもない量の事務作業しているから、終わるのも爆速だよ?そうでなきゃ終わらん」

 

 割と冗談抜きでとんでもない事務作業の量をこなしているのだ。

 世界中から集めた情報にすべて目を通し、逐一部下たちに指示を出し、細心の注意を払いながら事を進めてきたのが僕なのだ。

 今更一国の一王国がこなす事務作業程度苦労する僕ではない。


「可愛くないわね」


「つまんねぇー」


「……確かにちょっと不満ですね」


「そんなに僕を虐めたい?後、あんまり僕が無様晒すことなくない?それを狙うのはちょっと厳しいし諦めて欲しいよ?」


「たくさんいじめられたし」


「弄ばれたし」


「……国王になっても放置されました」


「……」


 おっと。

 どうやら僕に勝ち目はないようです。


「まぁ、贖罪ってことで事務作業を終わらすから許して……っとぉ、終わり。後の書類はまともにやれって言って突き返して」


「はい!?」

 

 四分の一ほどの書類が残ったタイミングでそう話す僕の言葉にリーリエが疑問の声を上げる。


「未だにラレシアを国王と認めていない人間もたくさんいるという話だよ。これらの書類、書かれている内容が無茶苦茶でまともな内容じゃない。カスだよ、カス。真実なんて一つたりともない。論外」


「な、なんでそんなことがわかるのよ……」


「長年の感覚だよ。ここら辺はある程度数こなす必要があるから仕方ないよ……そんなことよりも、だ。そろそろ魔王についての話していい?」


 すべての事務作業を済ませた僕はリーリエたちへと本題を切り出した。

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