第12話
オロロ巨人王国における新国王の誕生。
それは何の問題も、反対意見もなく、全王族からの万雷の拍手でもって新国王を迎え入れられた。
「……私がほとんど知らなかった国に来て三日で国王になり、五日で最前線に来ることになったんですが」
オロロ巨人王国の新国王。
自分のあずかり知らぬところで何もかもが進んでいたことに不満げな表情を浮かべながら僕へと小言をチクリ。
「いやぁー、出来るだけ急ぎたくて……ごめんね?」
「ノーム様からの命令ですから良いですけどね?それでももう少しくらい私に何かしらの報告があっても良かったと思いますが」
「許しちゃだめよ。ラレシア。ここは徹底的に断罪し、婚約してくれなきゃ許さないとまで言いなさい……でなければ徹底的に利用されて捨てられるわよ。私のように」
「ノームはナチュラルなクズであるからな。ある程度の無茶ぶりを吹っ掛け、我儘を幾つも叶えてもらわなくてはつり合いが取れない」
次々と僕に向かって刺されるリーリエとキリエからの言葉のナイフ。
「……」
しかし、僕はそう言われるだけの行為をしてきたという自覚があるので沈黙せざるを得ない。
「こ、こ、こ……婚約。そんな、私には恐れ多いですぅ」
「恐れ多くはないわよ。だって、貴方は既にオロロ巨人王国の国王。立場的にはノームよりも上よ!」
「……一応僕だってタレシア王国の国王のようなものだけどね?」
「ようなものと、実際そうなのでは違うだろう?我が家の格はかなり低くく、今では世界に跨る大商会となったレミア商会より劣る力と影響力ではあるが、それでも公式の場では我が家の方が上の立場なのだぞ?」
「……ま、まぁ、それら辺の話は後だよ。まずは目の前のトンロ皇国との戦い。巨人族の多くは戦士気質であり、強き者を慕う。ラレシアがたとえ無名の王族であってもトンロ皇国相手に大活躍の無双ぶりを発揮すれば
「……私、そんな大活躍出来る気がしないのですが」
「ラレシアならば問題ないよ。ラレシアの強さは既に巨人族一と言っても過言じゃない。僕たちもいるし、安心して挑んで良いよ」
「そこら辺の話は後……逃げたわね」
「逃げたな。情けない」
僕はリーリエとキリエの方には視線を向けず、ラレシアへと言葉を告げた。
「……それとごめんなんだけ、この後ドレシア帝国の皇帝と会う予定があるから、途中で抜ける」
「は?」
「え?」
「はい?」
僕は全員の視線から逃げるように顔をそむけた。
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