第11話
タレシア王国が誇る四大公爵家が一つであるフォーエンス公爵家暫定当主であり、国王であるマリア・タレシアの婚約者。
政変激しい現在のタレシア王国において実質的な最高権力者と目されているアレス・フォーエンスのオロロ巨人王国の入国は王国内に大きな動揺を誘い……そして、何気なく告げられた王位の要求に更に騒然となった。
「反対だッ!!!確かにラレシアには王位継承権が残っているが……だからと言って王位を認めることは出来ねぇぞ!!!
「……でも、ここでタレシア王国からの支援を受けられなければ、私たちの国は滅ぶわ」
「そうかも、しれないが……うーん」
「ラレシアに任せるんで私は賛成。というかこの国を残すのならそれしか選択肢はないでしょ」
現在、オロロ巨人王国に残っている王族たちが集まり、アレスからの申し出をどうするかの議論を続けていた。
「人間の奴隷に王位を継承したとなったら既に国としては滅びたも当然だ!なら、戦っての死を選ぶぞ!!!」
「……貴方の下らないプライドで民を不必要に傷つけないでくれるかしら?」
「何だと?」
「民の命が最優先よ。プライドを捨てることで民が助けるのであればそうすべきよ」
「我が国の誇りと歴史を捨てると言うのか?」
「えぇ、そう言っているのよ」
「……二人ともヒートアップしすぎだ。まだ何も話し合っていないのだ。妥協点を話し合うことも出来よう」
「ラレシアだって少しくらいは巨人としてのプライドがある、はずよ」
「……どうだがなぁ、あいつはだいぶ特殊な生まれで特殊な育ち方をしているし、あると思えないが」
「それはラレシアに失礼だろう……まだ何もわかっていない状況なのだ。落ち着いて決めていけば……」
「そんな時間あるかしら?既に前線が崩壊している現状で」
「……」
「耐えるだけだ」
「それが出来る人材はどこかしら?貴方が前線に出てみる?お父様でも無理だったのに」
「……貴様、俺を舐めているのか?」
「二人とも!睨み合うな!」
前代未聞の状態を前に議論が過熱していく。
「もー、こんなところに王族全員集まっちゃだめだよ?不幸な事故で王族全員が死に、ラレシアしか王位継承出来なくなっちゃうかもよ?」
そんな最中であった。
会議室にアレス・フォーエンスの声が響くのであった……タレシア王国内でいとも容易く実権を握った男の声が。
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