第10話
オロロ巨人王国。
現在、亜人の全滅を掲げるトンロ皇国と激しい戦争を繰り広げている国である。
「よくお越しくださいました……アレス様」
そんなオロロ巨人王国の情勢は劣勢。
既に前線は崩壊し、兵士を率いていた国王並びに屈強な将軍の多くが死去、敗戦が近づいている国である。
今、この国は国体を維持するために少しでも支援を欲している国……トンロ皇国よりも強国たるタレシア王国からの支援は喉から手が出るほどに欲しいことだろう。
「あぁ、昔からこの国に少しだけ興味があってね」
すべてが巨人サイズで巨大な国の王宮が一室。
僕が座りにしてはあまりにも大きい椅子へと寝そべる僕は自分の前にいるオロロ巨人王国の高官の言葉に横柄な態度で頷く。
「それはそれは……非常にありがたいことでございます」
何のアポも取らず、騎士も配下も連れずにたった三人の冒険者を連れてオロロ巨人王国に来るというイカれっぷりを発揮している僕であるが、それでも超がつくほどのVIP待遇である。
少しでも良いから僕から支援の約束を取り付けようと必死である。
「それで我が国には如何用でしょうか?」
「まずは観光……そして、次にちょっとした提案だ」
「提案、ですか」
「うん……そう。まず、さ。僕の後ろにいる巨人族の女の子に見覚えない?」
僕は自分の後ろに控えているラレシアへと視線を送り、疑問の言葉を口にする。
「み、み、見覚えです、か……?えっと、ですね……そ……え?」
突然振られた知っているかどうかという質問。
オロロ巨人王国の高官で仕事も忙しい彼がただ国を追われ人間の奴隷となっている一介の巨人のことなど知らないだろう。
僕の言葉になんて答えるのが正解なのか、そのまま知らないと告げるわけには……などと考えていたであろう彼はラレシアの容姿をよく確認して固まる。
「も、もしや……ラレシア第三王女殿下、でしょうか?」
「その通ーり」
僕は高官の言葉に笑顔で頷く。
「僕からのちょっとした提案なんだけどさ。ラレシアをこの国の国王にしない?僕とラレシアは知己の仲。彼女が国王だと僕も支援をしやすいんだけど、どう?」
僕は実に何気ない些細な提案をするかのように現在空席の国王陛下の席にラレシアを就かせるよう提案した。
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