第8話

 おもちゃにされ、ぐちょぐちょになった僕。

 何故か突然鼻血を流し始めた三人。

 イレギュラーにイレギュラーが重なり、まだ何もしていないのに既に時は夕方……お昼くらいに来たはずなんだけど、僕。

 

「それで?聞くのが遅くなっちゃったけど、私たちに頼みたかったことって、何?」

 

 みんなで夕食をつつきながらの中、リーリエが口を開く。


「あぁ、そうだよ。僕はちょっとした頼みごとがしたくて来たんだよ」


「……ふっ、とうとうこの我のちか」


「ラレシアにやってほしいことがあって」


「えぇ!?私ですか!?」

 

 話を振られたラレシアが驚きを露わにし、テーブルどころか家全体が揺れる。


「うん。そう……ラレシアってさ、自分の生まれが何か知っている?」


「う、生まれですか……?そ、それは巨人族の国の方で生まれましたけど、特に何か話すようなこともないと思いますけど。誰も居ない部屋で課された課題をこなしていたところ、何者かの襲撃を受けて奴隷になっただけです」


「ん……?」


「ふむ……?」

 

 決して『だけ』ではないラレシアの幼少期を聞いたリーリエとラレシアが首をかしげる。


「その幼少期、決して普通じゃないんだよ」


「え?そうなんです?」


「うん……そうだよ。ラレシアって実は王族の生まれなんだよね。僕がラレシアを買った一番の理由はその才能の高さで、その次の理由はその生まれ、王族生まれって何か役に立ちそうでしょう?」


 僕はさらっと何でもないことかのようにラレシアの生まれを口にする。


「「「えぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええええ!?」」」


「わ、私が王族、ですか……?い、いやいやそんなまさか」


「う、うちのパーティに王族が……?いや、ノームは女王陛下と婚約したから実質王族だとすると……王族がふ、二人?」


「……私だって貴族のはずなのに」

 

 僕の言葉に三人は大きな驚愕と動揺を見せる。


「僕の頼み事は簡単。ちょっとラレシアには巨人族の国の王様になってもらおうと思ってね」


「「「……は?」」」

 

 僕の言葉に三人はピシりと固まるのだった。

 

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