第5話

 シャルルと退廃的な生活をしばらく送っていた僕であるが、いつまでもサボっているわけにもいかないだろう。

 実質的にタレシア王国の頂点に立った僕を止める者などもはやいない……僕は完全に自由の身となっている。

 ゆえに僕は自分の思うがままに自由行動をとることが出来た。


「ん。ここに足を踏み入れるのも久しぶりだな」

 

 僕は今、久しぶりに使った変身魔法で別人の姿を取り、慣れ親しんだ服装を身に着け、とある場所へとやってきてきた。


「……嘘」

 

 いるかどうか、ちゃんと会えるかどうか不安だったのだが……僕の目的の人とすぐに出会えた。


「の、ノーム?」


「やぁ、久しぶり。リーリエ……キリエとラレシアの二人は?」

 

 僕は本当に久しぶりに会うリーリエ。

 タレシア王国王都の冒険者ギルド、そこへとやってきた僕はちょうど出ようとしていたのか、扉のすぐ目の前にいたリーリエへと声をかけるのであった。


 ■■■■■


「……まさか、貴方と再びこうして隣を歩けるとは思わなかったわ。その、ずいぶんと偉くなったみたいだし」


「偉くなったからこそ、こうして再び隣を歩けているんだよ。もう僕の行動を止めるものは誰もいないのだよ!」


「ちょっと待って?それはちょっと怖いわ……拠点を変えようかしら?」


「おい?この完璧な僕の何が不安だと言うのか。まったく、理解に苦しむ」


「今回のようにちょいちょい会いに来てくれた拠点変更を中止にしてあげるわ」


「そんな脅しをしなくともちょいちょい会いに来るよ。みんなに頼みたいこともあるし」


「……あなたが私たちに?」


「うん。そうだよ。まぁ、その内容としては後のお楽しみで」


「そう、ちゃんと楽しみに待っているわ。とはいえ、とんでもない無茶ぶりは辞めてね?……未だにあのサイクロプス戦の許してないから」


「あれはごめん」


「ふふふ……はぁー。ふふ、こうしてまた、ノームと歩けて良かったわ」


「そう言ってくれると嬉しいよ」


「……私はノームと呼び続けるわ……いつまでも仲間よ」


「うん、ありがとう」

 

 僕とリーリエは隣立って歩き、僕たちのパーティーの拠点へと向かった。

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