第3話
トンロ皇国が汚らわしき種族の絶滅を掲げ、亜人戦争を始めた頃。
タレシア王国でも大規模な政変が起こっていた。
「……まさか、ここまで簡単に政府を転覆できるなんて」
タレシア王国の国王陛下が何者かに襲われ、命を落としたことから始まった大規模な政変は。
次期国王と目された王太子も父と同様に倒れ、王太子の次に国王に近いとされていた第二王子は国王陛下と王太子の暗殺を首謀したとして処刑。
混乱の中で、フォーエンス公爵家とオルワルド公爵家からもうプッシュされたマリア様が王位へと就いた。
「そもそもの話、元々を辿れば王族は他民族……既に同化が進んでいるこの地だと王権も当然強いけど、公爵家の持つ力もそれに勝るとも劣らない。公爵二人の反抗で、なおかつ王族同士も分裂している状態じゃ抗えないよ」
「あ、案外……うちの家って不安定だったんですね……まぁ、傀儡として王位に収まった私が言えることじゃないんですけど」
「何を言っているんだ?マリア。別に僕はこの国を支配するつもりも、マリアを傀儡にするつもりもないよ?」
「……え?」
「緊急時につき、タレシア王国の実権を強奪させてもらったけど、魔王を倒した後はちゃんとマリアに国王として動いてもらうよ?」
「ま、魔王とか私よくわかってないんですが……え!?捨てられるんですか!?私!こ、婚約破棄とか……さ、されちゃう感じですか?」
僕の言葉を聞いたマリアが涙目で僕に掴みかかってくる。
「いや、そんなひどいことしないから安心していいよ?別に僕はマリアと婚約したの不安に思っていないし」
「ふぇ?」
「というか、冷静に考えてマリア以外僕の婚約相手いないし……」
未だにお姉ちゃんの婚約者は決まっていない……フォーエンス公爵家の子供二人が未婚は流石にヤバすぎる。
歴史途絶える。
「マリアが国王として困ったときは僕が支えるから安心してくれていいよ……とはいえ、そんなに僕は働きたくないから、ちゃんと頑張ってね?」
「は、はい!私、しっかりと国王としての役目を果たして見せますね!」
「うん、期待しているよ」
僕は前途多難であろうマリアの言葉に笑顔で頷いた。
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