第2話
「……まさか、本当に成功させるとはな」
「お父様も抵抗するつもりなかったですからね……うちの家は特殊なので、家督争いとか起こらないんですよ」
「ふっ。どうかな……フォーエンス公爵夫人の病も治ったのだろう?今頃大量に子供をこさえている頃じゃないか?」
「未だ成人もしていない子供相手に下ネタはやめてください」
「……」
「さて、それでオルワルド公爵閣下。無事に私はフォーエンス公爵家当主となった……これでマリア様による王位簒奪計画に協力してくれるね?」
「……ふんっ。実態はお主による王位簒奪だろうけ」
「答えは?」
「そうせかすな……こと、ここに至って協力しないわけにもいかんだろう。ドレシア帝国の皇帝とも繋がっているお前の申し出は断れぬわ……フォーエンス公爵家のお抱え商会の台頭を防いでいればなぁ」
「あっ、うちのお抱え商会のバックには自分がいるから、台頭を防ぐのかなりキツイよ?」
「……お前、何歳の頃から動いているんだ」
万が一の時のための備えを用意しておくことは当然だよね?
タレシア王国の暗部は大体掌握済み……それに伴って当然多くの貴族の黒い部分も把握済み。
タレシア王国随一の商会となったフォーエンス公爵家お抱え商会の一つであるノア商会が貧乏貴族に対して大量に金銭を貸し出し、上下関係を作り出す。
既にこの国の半数以上の貴族が僕からの頼みごとを断りづらい状況にある。
「ははは……どうあがいてもこの流れは止められなかったのか。トンロ皇国が起こした亜人戦争のせいでロンメル公爵家は動けず、少し前にあった事件でリオンス公爵家は勝手に自爆済み。そして、我が家に関してはドレシア帝国経由で圧をかける、と……なるほど。他の公爵家の扱いまで完璧。それに加えて他の貴族への影響も拡大。マリア様も学校対抗試合での活躍を機に影響力を増大させている真っ最中であり、多くの貴族から急接近されている。本当に完璧だな」
「僕としてもこの手は取りたくなかったんですけどね」
「フォーエンス公爵閣下の目的が己が野心ではなく、対魔王のためであったのが唯一の救いか」
「……僕は何もせず、平穏な生活を送りたかったんだけどなぁ」
「ふんっ。真逆のことをしおって……マリア様による王位簒奪計画に我が家は正式に協力する。最大限の利益を享受させろよ?」
「僕の次に美味しい思いをさせてあげますよ」
フォーエンス公爵家と同格であるオルワルド公爵家の邸宅。
オルワルド公爵家の配下たちも当然のように同席している会談の席で正式に僕との婚約を結んだマリア様による王位簒奪計画について、僕とオルワルド公爵閣下は話を進めるのであった。
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