第46話
僕がどうやってライトに勝つか。
そんな思考を回させるつもりはないとでも言うかのように怒涛に攻め立ててくるライトの攻撃をすべて僕は捌いていく。
「……ちょこまかとッ!」
僕は全力を出してその場で逃げ惑い、縦横無尽に会場の中を走り回る。
回避のアレス……とんでもなく弱く見える。
僕はそんなくだらないことを考えながら次々と魔法を発動していく。
「『風よ、舞え』」
「『邪魔ッ!』」
僕が発動する魔法は攻撃魔法ではなく、相手を邪魔する妨害魔法。
ただひたすらにライトの邪魔をし続け、僕は逃げ続ける。
「……はぁー、クソ」
悪態をつきながら魔剣を振るい続けたアレスは足を止め、口を開く。
「お前……今、魔法陣を描こうとしているな?」
「およ?」
「さしもの俺も大勢による儀式が必要となるほどの大魔法を単騎で発動するのであれば、かなり大きな魔法陣を描く必要がある……恐らく魔法の腕に関しては俺もお前も同じ。となるとその条件は同じだ」
「……あららー、気づいた人は君が初めてだよ?」
「俺もやるからな」
「んー。とはいえ、だよ?魔法の腕に関しては僕のほうが上だってアピールしたいね!」
魔法陣。
それは魔法を発動するための補助のような役割を果たしてくれるもの。
僕はライトとの戦闘中にずっと魔法陣を描き続けていたのだ。
「……ッ!?」
「『五行封印』『天魔結界』『魔子崩光』『新星爆発』『火葬冥砲』」
僕は数々の大魔法を連発……ライトに気づかれるまでに描ききれた幾つもの魔法陣を利用してどんどん放っていく。
「ァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
ライトの絶叫が響く中、それでも僕は魔法を発動し続ける。
「これでラスト」
僕は最期の大魔法を発動。
光が瞬き、衝撃が走る……直撃を喰らえば大抵の敵が死に絶えるであろう大魔法。
「……ラァッ!」
「ちっ」
だが、それを受けてもなおライトは倒れず、自分を縛っていた封印を破壊し、己を囲う結界を破壊して僕の方へと迫ってくる。
「……あん?」
魔剣を持ち、僕の方へと突貫してきたライト……その剣先が僕の腹に触れ、そのまま突き抜ける。
「かふっ……ははは。捕まえた」
魔剣で貫かれ、血があふれる僕は、それでも笑みを浮かべ、自分の前にいるライトを力強く抱きしめる。
素体が揺らぎ、悪鬼も揺らぐ。
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