第45話

 ライトの持つ魔剣と僕の持つ短剣がぶつかり合って火花が散り、高位の魔法と魔法が激しくぶつかり合う。


「……」


「……」

 

 僕は既に多くのものが避難した後の学校対抗試合決勝戦会場でライトと死闘を演じる。


「ふぅー」

 

 厄介なことにライトも時空間魔法使いであり、僕が得意とする時空間魔法の発生を先んじて潰されてしまうため、時空間魔法が使えない。

 僕は自分が最も得意とする戦法が使えない中、ライトと向き合わなくてはならなくなっていた……僕個人のビルドの完成はまだ先なのに!

 

「……ッ!」


「思ったよりも……強いな」

 

「それはこちらのセリフだとも」


 満足が行く状態まで自分が成長できていない中でゲームの主人公と戦うことになった僕はゲーム知識を信じて青写真を描いていた自分を恨みつつ、ライトの言葉に軽口を返す。


「ふっ。流石はお貴族様。虚勢だけは立派だな……俺に押され気味の身でよく言う」


「……」

 

 地力ではライトの方が上……技術でその差を埋め、なんとか食らいついているが、この戦闘。

 かなりキツイと言って良い。


「『インフェルノ』」


「『大海の渦』」

 

 僕の放った炎魔法とライトが放った水魔法がぶつかり合い、水蒸気爆発を起こす中で大量の投げナイフを次々と投擲していく。


「……毒とはまた小癪な」

 

 爆発に巻き込まれる中。

 すべての投げナイフをはじき返したライトは僕との距離を一息で詰め、魔剣を振り下ろしてくる。


「……ッ」

 

 僕はそれを右手の短剣で受け流し、態勢が崩れたライトへと左手の短剣を突き付ける。


「……まぁ、そうか」

 

 僕の短剣はライトへと当たる前に受け止められる。


「「『死ね』」」

 

 共に向き合い、視線を合わせ合う僕とライトは同時に即死魔法を発動。

 至近距離で視線を合わせると即死魔法が相手にその効果を発生させる可能性が上がるのだが……僕とライトの即死魔法は互いに不発で終わる。


「……ッ!」


「……っ」

 

 即死魔法が不発したことを受け、ライトは僕の手を握りつぶそうと握力を発揮し始め……僕は慌てて逃亡を選択する。


「……ふぅー」

 

 一度、ライトから距離を取った僕は息を吐き、どう勝利するか。

 頭を悩ませるのであった。

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