第39話

 学校対抗試合と言う場でシャルルとマリア様二人の力を他の人間に知らしめると同時に二人に自分が強く、成長しているという実感を持ってもらうと同時にまだまだ上がいると知ってもらう。

 

 僕の大方の目的は達することが出来た……勇者が居なかった場合二人の存在がかなり大きくなる。

 着実にレベルアップしてもらわないと困る。


「ふ、ふふふ……君が強いということはわかっている。しかし、だからと言って私たちもはいそうですかと言って引くわけにはいかないのだ。賢い君ならその理由もわかるだろう?」


「御託は良いので早く終わらせましょう」

 

 ロンドル殿下との試合の後からのすべての試合で僕は一人で戦い、悉く圧勝。

 各国の有力者相手に格の違いを見せ続けていた。


 個人的には平凡で、後世から見て話題に上がらないような人物になりたいのだが、時代がそれを許さない。

 タレシア王国の上から、圧勝するよう言われているし……もし、勇者なしで魔王と戦うなんてことになったとき、僕が強い奴だと思われていた方が色々と得だ。

 

「そ、そうか……言葉を交える価値も私たちにはないということか!舐めるのも大概にしろッ!!!」


 学校対抗試合において、選手として向き合う僕らは一時的に自分の地位のすべてから解放されるという名分化しているルールがある。

 しかし、そのルールのおかげで結構多くの選手の言葉遣いが荒くなっているのだ。


「別にそこまで舐めているつもりもないんですけどね……少々自分が強すぎるだけであなた方も十分な強者ですから」


「黙れッ!これ以上の愚弄は許さん!」


 僕の煽り散らかす言葉を受けて激高して突っ込んでくる相手の選手たち。


「おやすみなさい」

 

 そんな相手を僕は一瞬で無力化し、三人仲良く気絶させて地面に転がす。


「これで僕の勝ちです」

 

 ……お父様からの命令だから仕方なくやっているけど僕はいつまでヒール役を演じていればいいの?

 ここまで煽り散らかすの僕の趣味じゃないんだけど。意味のあることだからやるけどさぁ。

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