第37話

 第二回戦。

 バトルロワイヤルを終え、トーナメントの初戦で圧勝した僕たちのグループはその後も順調に勝ち進んだ。

 僕がメインで出るのではなくシャルルとマリア様の二人で。


 他を圧倒し、突き放す研ぎ澄まされた剣技、更に加えて強力な魔法の数々も使えるシャルルには隙が無く、完成されている。


 卓越された弓の技量より放たれる万物を砕く弓矢に、器用にも様々なことをこなし、各種状態異常や回復、支援、封印。本当に多種多様なことが出来るマリア様が一人いるだけでパーティーの次元が一つ向上するだろう。


 二人は本当に強くなった。

 学生レベルであれば最強に近いだろう……しかし、ごく一部の本当に外れた者たちには未だ二人は及ばなかった。


「……はぁ、はぁ、はぁ」

 

「……っ」

 

 一日目が終わり、二日目。

 トーナメントにも終わりが見えてきた頃。


「思っていたより強いな……さすがはアレスのチームメートだな」

 

 マッチングしたロンドル殿下のチームに敗北を喫していた。

 二人は地面に倒れ、既に立ち上がる気力も無いような状態だった。


「く、く……ッ!!!」


「……もう、辞めておきな。もとよりアレスが傍観者決め込んでまともに戦っていないせいで君たちは最初から人数不利を抱えているんだ。そんな中二人でよく頑張ったよ。誇っていい」


「心外ですね……ロンドル殿下。それではまるで私が悪いみたいじゃないですか」

 

 僕はロンドル殿下の言葉に肩をすくめながら前へと出る。


「お疲れ様です……二人とも。僕はソロ特化過ぎて連携とか苦手ですので、ちょっとパパっと一人で終わらせますね。二人は後ろの方で見ていてください」

 

 僕は地面に倒れている二人を魔法で治し、後ろに下がるよう指示を出す。


「わかりました」


「は、はいぃ」

 

 僕の言葉にシャルルとマリア様が頷き、すごすごと後ろの方へと戻っていく。


「パパっと、ってちょっと俺のこと舐めすぎじゃね?」

 

 僕の言葉を受け、少しばかりの怒りを表情に見せるロンドル殿下が僕を睨みつけてくる。


「別に舐めてはいませんよ?ただ、事実を言っているだけです」

 

 そんなロンドル殿下に対して軽口をたたきながら僕は学校対抗試合で始めて、剣を抜いた。

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