第35話
学校対抗試合の第一試合はバトルロワイヤルとなっている……弱小国の人間や大国の中でも弱い部類の人間のグループを減らし、二戦目からのトーナメントをスッキリさせるための戦いだ。
「……」
「……」
「……」
運営の工作によって第一試合のバトルロワイヤルでは各国の有力者がぶつからないように組まれている。
既に試合の開始を知らせるゴングは鳴らされている……しかし、決して誰も動くことはない。
何故か、このバトルロワイヤルの頂点に立つ僕が未だ動いていないからである。
他の会場では僕のような立場にある人間が他の人間に戦うように指示したり、その圧倒的な武で適当に敵を叩きのめしたり、好き放題やっており、激しい音が聞こえてくる。
「……やっぱり僕からになるよねぇ。二人とも。ここは僕がサクッと終わらせますね」
「わかりました」
「は、はい」
僕は時空間魔法を使ってバトルロワイヤルの会場の中心部へと転移する。
「さて、諸君。そろそろ僕たちも始めるとしようか」
「「「……ッ」」」
会場の中心に立った僕の言葉を受け、周りの生徒たちの雰囲気が一変し、険しいものへと変わる。
バトルロワイヤルのルールは簡単で、会場から落ちたものが場外負け。気絶したり、降参しても負け。
ただし、殺しは厳禁。
厳密なルールなどない……どうせ、各会場に割り当てられた頂点に位置する生徒がルールとなるのだから。
「この会場でのルールは単純。僕の攻撃を前に踏ん張ってみせて……5、4、3……」
僕はカウントを一つ。
それを聞いて慌てて他の生徒たちが僕の言葉通りに踏ん張るための準備を始める。
「……1、0。風よ、すべてを洗い流せ」
僕は魔法を一つ発動。
すべてを吹き飛さんとする風が吹き荒れ、会場を削っていく。
「……ッ!!!」
「……ぁ?!」
「キャッ!」
「うわぁぁぁぁぁああああああああああああ!!!」
耐える者、残る者。
「まぁ、完璧でしょ」
ちょうど、運営から目安として出されている勝ち残り人数ぴったりで残して見せた僕は自分の腕の良さに頷き、満足したのだった。
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