第32話

 ロワール小国に入国したばかりの頃に行われた大規模パーティー。

 あそこが学校対抗試合の前哨戦における僕の最大にしてもはや唯一と言っても良い大仕事であった。


 細々とした会食、会談等はあるが、大規模なものはない。

 あとは学校対抗試合が行われる当日までダラダラのんびり過ごすだけだと思っていたのだけど……。


「何でこんな面倒なことをするかねぇ?」

 

 僕はトンロ皇国……もといブレノア教から送られてきた異端審問決議の知らせが書かれた書類を前にして首を傾げる。


「異端審問も何もうちの家は古くから無信仰者なのだが……」

 

 ブレノア教を信仰した覚えも、ブレノア教が異端としている神を崇めた覚えもない……オーエンス卿とのゴタゴタ関連がゆえに送られてきたものだと思うけど。

 

「別に行かなくて良いや」


 タレシア王国内におけるブレノア教の影響は実に軽微である。

 オーエンス卿を煽ったことに対してお父様から何か強く言われていないし、ブレノア教をそこまで尊重しなくとも良いとも言われている。


「適当に煽って終わらそ……」

 

 僕は一応お父様に報告を入れるため、ベッドから起き上がる。


「んー!これの返信送ったらあとは寝て過ごす……学校対抗試合の開会式まであと一週間と少しだしね」

 

 既にロワール小国内には学校対抗試合に参加する多くの子どもたちや世界各国の有力者が滞在し、人が飽和状態だ。

 学校対抗試合まで、あと少し。

 

 ■■■■■

 

 異端審問決議へのご招待感謝致します。

 非常に楽しそうなパーティーではございますが、私を誘うには何もかもが足りないと申さずにはいられません

 貧相な書類一枚で呼べるほど私は軽い人間ではなく、私をパーティーに招待したいのであれば教皇直々にお越しくださると幸いです。

 

 愛するあなたの友人より。

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