第26話
実際に学校対抗試合が行われるよりも前に各国の有力者たちが集まり、外交合戦を繰り広げることが慣習となっている。
「ふむ……美味い」
それに従い、世界中の有力者がロワール小国の王宮のパーティー会場に集い、実に和やかなパーティーが行われていた。
そんな最中。
僕は会場の端っこの方で一人、ちびちびとジュースを飲んでいた。
様々な国の貴族……白人から黒人、果てにはエルフや獣人などと言った亜人まで、この会場には一堂に会していた。
「……全員いるな」
ここで僕が確認したいことは実にシンプル。
ちゃんとゲームに出てきた主要人物がいるかどうかである。
これでゲームの主要人物の多くが勇者と同じようにいませんでした、なんてことになったら僕はもう泣いちゃうので、ちゃんと全員いることが確認出来て良かった。
確認したかったことも確認できたし、良い加減仕事するか。
「さて、どの料理がおすすめなんだろうか」
僕はあえて大きな声で独り言をつぶやく。
「少々よろしいでしょうか?」
「構いませんよ」
そうすると、僕を取り巻くように立っていた少女のうちの一人が話しかけてくる。
「本パーティーには我が国が誇る食材を使った我が国の伝統的な料理も並べられています」
「おぉ、なんとそれは素晴らしい。ちょうどどの料理から手をつけるべきか悩んでいたところなのです。ぜひ、案内していただきたい……あぁ、申し遅れましたが、私の名はアレス。タレシア王国が誇る四大公爵家が一つ、フォーエンス家が長安、アレス・フォーエンスです。以後良しなに」
「あぁ。そうですね。失念しておりました……私の名前はマルヌ・テレシア。アインレン王国の侯爵家が一つ。テレシア侯爵家の長女にございます」
「それではマルヌ嬢。案内の方をお願いしてもよろしいですか?」
「えぇ……フォーエンス卿。私がおすすめする料理はこちらの方に」
僕は自分へと話しかけてきた少女、マルヌと共にパーティー会場の中心の方に入っていくのだった。
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