第25話
二か月などあっという間に過ぎ去ってしまう。
普通に学園生活を送り、シャルルとマリア様を鍛え、自身も更なる高みを目指して邁進する日々はあっという間に過ぎ去り、学校対抗試合が近づいていた。
タレシア王国など、現在大陸に覇を唱えている大国の王族たちゴンレア民族の侵攻によって国家として崩壊してしまったかつての覇権大国たるロワール帝国。
その後継国家であるロワール小国の首都、ロールの一角にそびえ立つコロッセオに各国の人間が集まって学校対抗試合が行われる。
メインは未来ある各国の子供たちの交流並びに試合が目的である学校対抗試合であるが……やはり各国が交わる一大イベントなだけあって外交も活発に行われる場となっている。
学校対抗試合の裏では各国が自国の武並びに経済力を誇示し、様々な陰謀渦巻く外交合戦が行われている。
タレシア王国の四大公爵家が一角、フォーエンス家。
四大公爵家の中で唯一参加する子供ということもあって僕への注目度はかなり高い……一応マリア様も出ているし、なんなら第三王子であるマグルス・タレシア様も参加しているんだけど……それでも一番注目は僕だ。
タレシア王国は世界でも有数の大国であるし、そもそもこの国は貴族権が強い。
やはり次期公爵の方がインパクト強いようだ。
「さて、アレスよ。今更言う必要もないと思うが、学校対抗試合でお主にかけられている期待もプレッシャーも人一倍などと言うレベルでなく、百倍。我が国のすべてがかかっていると言って良い。わかるな?」
レイブ学園の生徒たちの多くがロワール帝国へと入国するよりも前に僕はお父様と共にやってきていた。
「わかっているよ……やるからには当然完勝。優勝だよね?」
「うむ、そうだ……あの子はアレスを探すのに夢中で学校対抗試合の多くを欠席しているからな。テレアの分も背負っていると思えよ?」
「わかっている……ちゃんと勝つよ」
なんか勇者もいないし、よほどのイレギュラーでも起きていない限り僕が負けることはないと思う。
「そうか、なら良い……まぁ、ここまで圧かけといて言うのもなんだが、別に負けても構わん。好きにやれ」
「はーい」
「ということで学校対抗試合の話は終わりだ……まず対処しなければならないのは前哨戦だ」
「外交合戦に子供を引き出さないで欲しいな?」
「我慢しろ、すべての貴族の子が通る道だ」
「わかっているよ……個人的にも気になることがあるし、楽しませてもらうよ?」
「……お前、余計なことはするなよ?」
「楽しみだなぁー」
僕はお父様の視線から逃げながら口を開いた。
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