第22話

 学園対抗試合。

 一体誰と出るか……それはあらかじめ決めていた。


「アレス様、対抗試合は一体誰と出ますか?」


「やはりシャルルと?」

 

 朝のHRが終わって休み時間となった瞬間に僕はクラスメートたちに囲まれ、一体誰と対抗試合に出るかを尋ねられる。


「シャルルとは当然一緒に出るよ」


「おぉ。やはりそうですか。シャルルの実力は本物。アレス様の隣に立って力を振るに足る力を持ち合わせているでしょう」


「シャルル……あの子は良いわよね。素直で健気で、すっごく可愛いし」


「あとの一人はどうなさるつもりですか?」


「マリア様とでも一緒に出ようかと」


「えっ……」


「いや、それは……」


「あっ……え?」

 

 シャルルの名前に対しては好意的な感触を示していたクラスメートたちはマリア様の名前を聞いた瞬間に動揺と困惑をあらわにし、言葉の歯切れが著しく悪くなる。


「問題ないよ……別に勝つだけなら僕一人でも問題ないからね」

 

 そんなクラスメートに対して僕は絶対の自信をのぞかせながら口を開く。


「一人でも勝てるのだから、チームの組み合わせなんて僕と仲の良い人たちで囲んでいいでしょ」


「……な、なるほど」


「そ、そうですか」


「本当に大丈夫なのですか……?」


「心配するのも当然だよね……でも、問題ないよ。『正直に、誠実に』をモットーとするフォーエンス家の嫡男として断言するよ」


 僕の言葉を聞いてもなお不安そうなクラスメートたちに念押しするように口を開く。


 僕の勝敗はボク個人に関わる話ではない。

 この学年で最も強く、位の高い僕はまさにこの学園の顔であり、僕が無惨に敗北することはSクラスひいてはこの学年、学校の沽券に関わる問題となる。

 クラスの子たちが心配するのも至極当然と言えよう。


「心配なら今度、僕を除くクラス全員VS僕。でもやってみる?僕はそれでも勝つ自信があるよ」


「よし、やりましょう」


「そうですね」


「賛成です」


「ふふふ……腕がなりますね」


「えっ……?」

 

 僕があくまで冗談で言った申し出に対してクラスメートたちが頷き、実に前向きな姿勢を見せた。

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