第22話
自分の魂の一部が切り離され、外へと堕ちていくような形容しがたい感覚に襲われると同時に─────世界へと悪鬼が、降り立つ。
「……なに、それ」
悪鬼は僕の背後霊のように黒い甲冑を身にまとう赤黒い人の上半身の影が魔力を吹き出しながら二本の巨大な斬馬刀を構えている。
ただただ純粋な闇と暴力の気配を撒き散らす悪鬼はリーリエから溢れ出す黄金の光すらも呑み込んで圧倒的な威圧感を世界へと顕現させる。
「こっふ」
未だちゃんと体から血が大量に流れ落ち続けている中、僕は立ち上がってサイクロプスの前に立つ。
「ちょっと僕そのものに時間制限が出来ちゃったからね……早々に終わらせてもらうよ」
僕は二本の短剣を握り、一歩前へと進む。
「ガァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
それに対して、サイクロプスは。
急に変貌した僕を前にして恐怖の感情を抱いたサイクロプスは……自身が恐怖の感情を抱いたことを認めず、それを打ち破るようにしてサイクロプスは叫びながら僕の方へと迫ってくる。
「軽いよ」
それを僕は自身の後ろにいる悪鬼を操ることで弾き飛ばす。
「が、ガァ!?」
大きく吹き飛ばされたサイクロプスは地面に尻をついて体を倒す。
「さようなら」
そんなサイクロプスの前へと転移した僕は二本の短剣で、悪鬼の持つ二本の斬馬刀で。
サイクロプスを容赦なく切り捨てる。
圧倒的な力で持って。
「……ァガ?」
これまで高い耐久力と圧巻の再生力でもって僕らの前に立っていたサイクロプスはその攻撃を前に上半身と下半身を切断され、そのまま沈黙。
「ふぅー」
肉も血も骨も残さずサイクロプスはこの地上から完全にその存在を消す。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああ」
圧倒的な力でサイクロプスを瞬殺した僕はその場に体を倒し、深々と息を吐いた。
既に悪鬼は消えている。
「あー、いった」
ズキズキと痛み、血を流し続ける自分のお腹を抑え、小さな声でボソリと呟いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます