第18話

 サイクロプスの住まう広い荒野。

 山の中腹にぽっかりと出来たその空間をサイクロプスは根城とし、四六時中そこに居を構えている。

 そんなサイクロプスが住まう荒野のすぐ近くへと麓の街で馬車を預け、ここまで徒歩でやってきた僕たち。


「ついてきて」


「ちょ、ちょッ!?」

 

 サイクロプスが見えた瞬間に僕は先手必勝とばかりに転移で突貫。

 仲間も置き去りにして強引に詰める。


「ガァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」

 

 最初の初撃で狙うのはサイクロプスの巨大な一つ目。

 僕は手に持つ魔力をたっぷり流した短剣を突きつけ、そのまま魔法を発動。

 短剣より溢れ出す焔雷が一切の容赦なくサイクロプスの一つ目を襲い、焼き焦がす。


「……ふー」

 

 僕はそのまま流れるようにサイクロプスの足元へと移動。

 二本の短剣でサイクロプスの足首を切り裂く。


「ぐぁ……ッ」

 

 視界を失い、なおかつ足に力を十分込められなくなったサイクロプスは足元をフラつかせる。


「轟き、穿て『火装砲龍』」

 

 そのタイミングで少し離れたところにいるキリエが魔法を発動。

 足元をふらつかせるサイクロプスを容赦なく焼き焦がしていく。

 ぶっ放したキリエの魔法へと続かせるように僕は次々と魔法を発動させ、容赦なく攻め立てていく。


「……早いのよ!ノームはぁ!」


「いい感じに奇襲成功したんだから良いでしょ」


 自分のもとに遅れてきたリーリエたち。

 リーリエから出てくる不満の声に僕は軽く声を返す。


「ほら、みんな戦闘態勢を取って」


「ふぅーッ!!!」


「サイクロプスはまだまだ元気だから」


 これ以上ないまでに魔法の雨を浴び続けていたサイクロプスだが、既にその体は再生し始めている。

 僕が斬りつけた足は治り、魔法でぐちゃぐちゃになった体もほとんど治り、かなりの深手を負わせたはずの一つ目も半分以上回復している。

 もう視力は回復しているだろう。


「わ、我が魔法を前にそれしかッ!?ど、どのような硬さと再生力たるかッ!?」


「サイクロプスはとんでもない再生力が売りの魔物だからね……まだまだ時間かかるよ」


「……そうっぽいわね」


「さぁ、みんなで泥沼の戦闘頑張ろうね?」

 

 僕は二本の短剣を強く握り、みんなに向けてそう告げた。

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