第16話
孤児院でのひと悶着を終えた僕たちは自分らパーティーが拠点としている借家の方へと戻ってきていた。
「は、はわわわわわわわわわ」
「あえあえあえあえあえあえぇぇぇぇぇぇええ」
そこでリーリエとキリエは発狂しい、壊れてしまっていた。
「そんな驚かなくとも良いだろう。最初から僕は自分が貴族であると明かしていただろう?」
「こ、公爵家だとは思わないわよッ!!!た、タウロス王国の公爵家とか……もう私の祖国であるラレンシア王国よりも力あるでしょ!?」
「まぁ、多分ラレンシア王国とうちの家が戦争状態になったらうちが勝つかなぁ……」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ」
僕の言葉を聞いたリーリエの動揺は更に大きくなる。
「ちょ、ちょ、ちょっと待って下さい!?リーリエ!公爵家様にタメ口は駄目ですよ!?」
「ハッ!!!」
「いや、全然タメでも良いけどね?」
「……ノーム様はすごい人だったんですね」
奴隷の身分であり、公爵家という名の重みに実感が湧いていないラレシアが何とも言えない声色でつぶやく。
「僕は公爵家であろうとなかろうとすごい人だぞ」
「おぉー!流石はノーム様です!」
僕の言葉にラレシアが素直に感嘆の声を上げる。
「リーリエは僕の口添えでこの国に商会進出を果たすのだろう?そんな調子でどうするの?」
「あっ……え?」
「せっかく公爵家が次期当主たる僕と仲良くなったのだ……このコネを利用しなくてどうするの?」
「た、確かにそうね……そうかもしれないわね」
「僕が不敬だと理由で打首にするならとっくの昔にやっているし、そもそも冒険者になったりしないよ」
「そ、そうね……うん、そうよ。ふ、ふふふ。色々とお願いするわよ?公爵家次期当主様」
「まぁ、ある程度のことは任せてもらっていいよ。この国に進出するのを少しばかり手伝うことくらいなら出来るよ」
「ありがと!」
「キリエもかしこまる必要はないよ……別にぞんざいに扱われようとも怒らん。これでも冒険者として長いからね」
「……ふ、ふっはっはっはっは!そ、そうであるよな!我と汝は同じ混沌なる運命を背負し者!彼我の関係はそう脆くはないとも!そうであるよな!?」
「うん。そうだよ。だから安心していいよ」
僕はハイテンションに告げるキリエの言葉に同意する。
「ところでさ」
よし、そろそろ本題に入ってもいい頃合いだろう。
「ん?」
「ちょっとだけみんなにお願いがあるんだけど良いかな?」
「な、何かな……?」
「な、なんでしょう……?」
僕の言葉にリーリエとキリエは共に頬を引き攣らせながら疑問の声を上げた。
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