第13話

 氷結花を無事に採取することに成功した僕たちパーティーは孤児院の方へとやってきた。


「……私の体じゃ中には入れなそうですね」

 

 依頼主がいる孤児院へとやってきたラレシアがボロボロの建物を見てそう告げる。


「確かに……ちょっと外で待っててもらった方が良いかもね」

 

 ラレシアが家の中で少し転ぶだけで壊れてしまいそうだった。


「そこまで長引かないと思うから、ちょっとだけ外で待ってて」


「わかりました」

 

 僕の言葉にラレシアが頷く。

 それを確認した僕は初めて来た同様に魔法で音を響きやすくさせた状態で扉をノックする。


「……はーい」

 

 しばらく待っていると、扉を開けて少女……リリアさんが外へと出てくる。


「あっ!ノームさん!……って、え?大きい……」

 

 僕を視界に入れたリリアさんは僕を見て喜びと期待の混ざる声を上げ、次にラレシアを見て驚愕する。


「私は巨人族なので他の人より大きいのです!ちょっと私は中に入るのが不安なので、外の方で待っていますね」


「あっ、ご配慮ありがとうございます……」

 

 ラレシアの言葉を受けて、リリアさんは頭を下げる。


「そ、それで依頼していた氷結花の方なんですが……」


「安心してください……ちゃんと氷結花は採取してきましたよ」


「……ッ!!!あ、ありがとうございます!!!」

 

 僕の言葉を聞いたリリアさんは歓喜の声を上げ、深々と僕たちに頭を下げてくる。


「まぁ、こんなところで立ち話を続けるのもなんだし、孤児院の中へと入ろうか」

 

「これまた面倒なことを……まさか、あんなしょっぱい依頼を受ける偽善者が冒険者にいるとは思わなかった」

 

 家の中に入ろうとした僕たちを止めたのは一つの男の声。


「誰?」


「あっ……」

 

 その声の主である男はぞろぞろ完全武装の騎士を十人ほど引き連れてこちらの方へと近づいてくる。


「誰?だと……冒険者の餓鬼が。目上の人間のことはしっかりと把握しておいた方が良いぞ。俺はこの街の当主にしてテラリア男爵家が当主、ヘルス・テラリアだ」

 

 貴族らしく豪華な衣服を身に纏うその男はこちらへの蔑みを一切隠そうとせず、僕たちに向かって自分の名を名乗った。

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