第9話
洞窟の奥に行けば行くほど魔物のレベルが上がり、強くなっていく。
「封印術、四花封印」
僕は一度だけちょっろと軽く勉強した封印術を発動し、目の前にいる巨大な蝙蝠の魔物の動きを止める。
「任せた、キリエ」
「了解です。世界は堕ちた。されど、日は堕ちぬ『滅日』」
赤白い炎が花開き、蝙蝠を包み込む。
「消して終わることのなき日の光に焼かれるが良い!」
「あっつ!?」
蝙蝠の魔物と共に日の光に焼かれそうになる僕は大慌てでその場より逃げ出す。
「あっ……すみません」
そんな僕を見てハイテンションで高ぶっていたキリエが一気にテンションを沈下させ、謝罪の言葉を口にする。
「いや、大丈夫。ちょっとびっくりした程度だから」
「そ、それなら良いんだけど……」
僕の言葉を聞いてキリエがほっと一息を漏らす。
「にしてもやっぱりキリエの魔法と僕の封印術の相性は良いね」
キリエの魔法はどれもが高火力、高難易度。
発動には時間もかかるし、相手に当てるのも少々困難。
そんなキリエの魔法と相手を拘束する僕の封印術の相性は良い……ようやく使いこなせるようになってきた時空間魔法も封印術と絡められるし、次は封印術について深く学んでいこうかな……。
「なんというか……戦闘面に関してはノームとキリエの二人がいればもう解決ね」
僕がそんな事を考えながら馬車の方に戻ると、リーリエがそんなことをつぶやく。
「まぁ、僕はソロで何でも出来ることを目指しているからね。そもそも僕一人で良い……あの蝙蝠も時間をかければ一人でやれるだろうし。魔力的には……どうかな。流石に一人でここを走破するのは辛いかな」
「ここを一人で走破出来たらドン引きよ」
僕の言葉に対してリーリエが若干呆れながらそうつぶやく。
「ふふふ……僕が目指すはもっともっと上だからね」
悲劇が何処にでも転がっているような世界なのだ。
どれだけ強くなっても全然安心出来ない。
「ここを走破出来るくらいにはいずれなって見せるよ」
「くくく。流石は我と同じ運命が上に立ち、翻弄されるものなり。我も負ける事はできませんね。いずれ我は最強の魔法でこの洞窟を消滅させられる程の魔法を使えるようになってみせましょう!こんな洞窟魔法でボンです!」
「待って?それはちょっと違くない?」
僕の言葉に釣られるようにして告げたキリエの言葉に対して僕は思わずツッコミを入れた。
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