第10話

 洞窟の奥へと奥へと進んでいった僕たち。


「クソッ!魔物の数多すぎでしょ!?」


 そんな僕たちは氷結花が繁茂しているであろう洞窟の最奥へのちょっと前のところで大量の魔物に囲まれてしまっていた。

 リーリエまで前線に出て戦っているのに、まるで敵が減っている気がしない。


「これは……ちょっと殲滅させるのは無理かもしれないわね」

 

 氷魔法を発動させ、大量の魔物を凍結。

 崩壊させるリーリエが頬を引き攣らせながら告げる。


「そうだね……ちょっと、ここ任せていいかな?」


「ん?どうするつもり?」


「いや、魔物全部ぶち抜いて、僕だけで氷結花取りに行く。僕なら魔物に囲まれながらも前に進めるし、採取した後すぐに収納して戻ってくることが出来る。


「……本当に大丈夫なの?」 


 僕の言葉を聞いたリーリエが心配そうな表情を浮かべる。


「僕は問題ないよ。心配なのは僕が居なくなった後……みんなが大丈夫かどうかなんだけど」


「ふっ!余計な心配はいらぬぞ!我が魔法を前にして無事でいられる魔物などおるまい。問題があったら魔法を使いますので、私たちが危険に陥ることはありません」


「おっけ」

 

 キリエの頼もしい言葉を聞いた僕は一度短剣を鞘へと仕舞って一つの魔法を唱え始める。


「ぶち抜け『火葬砲』」

 

 僕は一つの魔法を発動。

 高威力で放たれる炎魔法は僕の前の魔物をすべて吹き飛ばし、一つの道を作り出す。


「んじゃ、サクッと氷結花取りに行ってくるわ」

 

 僕は自分で作り出した道を疾走。

 自分へと迫ってくる魔物の悉くを短剣で切り伏せ、どんどん前へ前へと進んでいく。


「……どこまでもいやがるな」

 

 本当に信じられない数がいる魔物を前に僕は若干頬を引き攣らせながら強引に進んでいく。

 僕へと伸ばされる魔物たちの手を斬り落とし、魔物の股をくぐり抜け、立ちふさがる魔物を斬り飛ばして。


「あそこか」

 

 予め冒険者ギルドの方から貰っていた洞窟の地図。

 地図に示されていた通り、氷結花が繁茂していると思われる広い空間に入る穴を見つけた僕は加速。


「いちぬけ!……ッ!」

 

 その空間へと入った僕は冷気と悪寒を前にして体を一度、震わせる。


「な、なるほどね……」

 

 僕を追いかけて広い空間へと入ってくることのない魔物を横目に僕は視線を真下へと向けた。

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