第4話

 僕たちがラステンへとやってきてから早いことでもう一週間。

 基本的にメルボランと同じく毎日のように依頼をこなす日々を僕たちは送っていた。

 

 見た目と年齢から僕たちを侮っていた人たちも毎日のように高難易度の依頼を問題なくクリアしているのを見て、僕たちの評価を改めてくれている。

 僕たちはラステンでも何の問題なく冒険者としての日々を送れていた。


「やや?」 

 

「ん?どうしたの?」

 

 いつもどおり依頼が貼られたボードを見た僕はちょっとばかり珍しい依頼を見つけて声を上げた僕に対して、リーリエが疑問の声を上げる。


「いや……ちょっとおもしろそうなのを見つけてね」

 

 僕はボードから一枚の依頼書を剥がして見せる。


「孤児院の子供たちからの依頼。クリア報酬はお手製のお守り。依頼内容は氷結花の採取」


「……氷結花。ちょっと面倒ね」

 

 氷結花。

 うっすらと冷気を放つ美しく、小さなその花はかなり強い魔物が多く生息しているラステン近くの洞窟の奥の奥に繁茂している。

 採取自体は簡単だが、その採取に至るまでの道中の難易度が高い花である。


「そう面倒。難易度に対してその報酬はしょっぱい……というか、無いに等しい。この依頼の実態はボランティアと言って良いだろう。で、依頼してきたのは孤児院の子供たち……ちょっとボランティアしない?」

 

 僕は自分の隣にいるリーリエへとそう提案する。


「むむ……確かに、そうね。この依頼を受けそうなのは私たちくらいかもしれないわね」


「でしょ?別に難易度が天火竜のときのような激むずというわけではないし、良いかなぁーって思うんだけど」


「そうね。別に私たちもお金に困っているわけじゃないし、子供たちのために働くのもいいわね……他の二人が賛成してくれるかしら?」

 

 キリエとラレシアは今、朝食の調達をするために屋台を回っているので、ここにはいない。


「あの二人に限って反対することはないでしょ……基本的に僕とリーリエの言うことに頷くし」


「まぁ、そうね」

 

 僕の言葉にリーリエが頷く。


「じゃあ、この依頼を受けちゃおうか」


「うん。そうしよ」

 

 僕とリーリエは孤児院からの依頼を受けるため、受付嬢さんの方へと向かった。

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