第2話

 タレシア王国。

 大陸の中央部に位置し、なおかつ国土の大半が農業に適した肥沃な大地という恵まれているものの、他国から攻撃を受けやすいのがタレシア王国である。

 そんな王国であるが、持ち前の圧倒的な軍事力によって他国からの攻撃を跳ね返し、建国100周年をもうすぐで迎える世界有数の大国へと僕たちはやってきていた。


「……ここが貴方の領地?」

 

 タレシア王国の南方に位置する都市……テラリア男爵が治める領地の中心都市ラステン。

 僕たちがいる街はここだ。


「いや、違うよ?」

 

 リーリエの言葉を僕は否定し、念入りに自分の姿を隠す魔法を重ねがけしながら冒険者ギルドへと入る。

 冒険者は世界に跨る大組織ではあるものの、横の繋がりは薄く、個々の冒険者ギルドが独立した組織であると考えるのが一般的。

 別のギルドから別のギルドへと活動拠点を移したときはちゃんとその旨の報告をギルドの方にしなければならないのだ。


「べ、別のギルド……大丈夫でしょうか?い、虐められたりは……」


「タレシア王国の冒険者はそんな血気盛んじゃないよ。うちの国は冒険者の取締を結構キツくやっているからね」


 不安げにつぶやくキリエに対して僕はそう告げる。


「な、なるほど……」


「まぁ、僕がサクサクと手続き済ませちゃうから後ろにいてくれれば良いよ」


 僕は受付嬢の元まで向かい、手早く手続きを行っていく。

 

「……はい。確認致しました」

 

 僕から受け取った書類を確認した受付嬢は頷き、口を開く。


「これで活動拠点の移動の手続きは完了です。この街での活躍をお祈りしています」


「はい。ありがとうございます」

 

 手続きを手早く終わらせた僕はちょっと後ろのところで待っていたリーリエ


「本当にすぐ終わったわね。他のところじゃもう少し、戸惑うはずだけど……しっかりとした教育がなされているのね」


「うちの国は地政学的には大ピンチ状態だからね。四方の国から同時に攻めこられてもなんとか対処出来るよう使えるものは全部使う。冒険者はいざというときの国の戦力、民兵と考えているから、冒険者並びにギルドへの国からの支援は充実しているんだよ」


「なるほどね」


 僕の説明にリーリエが頷く。


「3日かかるほどの大移動で、みんなもう疲れたでしょ?今日は依頼を受けずに休憩にしようか」


「賛成」


「はいです」


「うむ……良いだろう」

 

 僕の言葉に他の三人が頷いた。

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