第29話
特注で作らせた巨人用のビキニアーマーを身に着けて大剣を持ち、ゴブリンたちを前にするラレシア。
「どっせいッ!」
彼女は勢いよく大剣を振り回し、自分の周りに群がるゴブリンを肉片と変えてあたりにぶちまける。
「……あっ、まだ残っていた」
運よくラレシアの一振りを潜り抜けて生き残り、ラレシアの体を叩き続けるゴブリンの方へと視線を向けたラレシアはゴブリンの頭を握りつぶす。
「……巨人族って素の肉体の段階で硬いの?素肌でどれだけ攻撃を受けても傷一つ受けない」
「あんまり知られていないけど巨人族ってめちゃくちゃ硬いよ。巨人族の皮膚は並みの鎧よりも遥かに硬いからね。言い方悪いけど肉盾として巨人族以上に適した種族はないよ」
「そうだったのね」
「まぁ、巨人族は基本的に重機と同じ使われ方するからね。あんまり戦闘用で使う人いないから」
「……まぁ、邪魔だものね」
馬鹿デカく、数もそこまで多くない巨人族を戦闘に使う人間はあまりいない。
だから、巨人族の皮膚の硬さとかは結構マイナーなのだ。
「終わったよ!ノーム様!リーリエ様!」
ゴブリンの返り血をたっぷり浴びながらも彼らを壊滅させたラレシアが僕とリーリエの方へと視線を送って元気よく声をかけてくれる。
「お疲れ様」
ラレシアの頭上へと移動し、肩車される形となった僕はその態勢のままにラレシアの頭を撫でながらねぎらいの言葉をかける。
「順調に成長しているね」
「えへへ。ありがとうございます!」
「一先ず、ゴブリンが相手ならどれだけいても問題ないかな?」
ラレシアを僕とリーリエが戦ったゴブリンの巣穴へと放り込んでも生き残れるくらいにはなってくれたと思う。
彼女を買ってから早いことでもう三か月。
武器の振るい方から相手の攻撃の受け止め方、魔法の基礎に、タンクをする上で必須とも言える魔法の数々にその応用。
ここまで鍛えるのにひどく苦労したが、おかげで僕の想定通りにラレシアが育ってくれている。
「うん!多分問題ないと思うよ」
「よし。次はオークを吹き飛ばして、オーガとからへん。初級者を超え、中級者と呼ばれるくらいにまで成長して更に経験を積んだ冒険者たちが戦うラインである魔物と戦ってみようか」
「うん!任せて、何が相手でも私は戦って見せるよ!」
「頼もしいね。良し、それじゃあ……魔物の元に向かおうか。あっちに行って」
「はーい」
僕はラレシアの頭に乗った状態のまま、彼女に向かう場所を刺し示した。
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