第26話
奴隷商館。
貴族や大商人向けとして作られ、奴隷の管理も丁寧な高級店へとやってきた僕とリーリエは応接室で商館に務める店員からの接待を受けていた。
「さて……本日は何をお買い求めでしょうか?英雄様」
「ははは。英雄と面と面で向かって言われるにはこの小さき身では重いかな」
目の前に座る男の言葉を軽く受け流しながら僕は口を開く。
「ちょっとした奴隷を買い求めたくてね。求めたいのは前衛として働ける奴隷。若くて才能のある子を」
「むむ。その条件となるとかなり金額のほどが上がってしまいますが……」
「その条件にプラスして亜人も可だ」
「あぁ、なるほど。そういうことですか」
僕の言葉を受け、店員は頷く。
人間と亜人。
この二つの奴隷の金額にはかなりの差がある……亜人ならば安い。驚くほどに。
「前衛として働ける亜人となると、獣人や鉱石族、巨人族などのでしょうか?」
「そうだね。見ての通り僕は小さいから逆に大きい子、巨人族が良いかな。巨人族の子を見せてもらえるかな?」
「当商館には三人ほどの巨人族がおりますが……全員御覧になりますか?」
「えぇ。全員で」
「了解しました。少々お待ち下さい」
店員が手元より赤色の鈴を鳴らす……すると、しばらく。
一分もしないうちに僕とリーリエのいる応接室へと入るドアが開き、三人の巨人を連れて更にもうひとりの店員が入ってくる。
「こちらが巨人族の商品となります」
並べられた巨人……全員が3mを超えるほどの背丈を持った男女。
縦も横も大きいな巨人を前にして僕は圧倒される……種族としての生まれ持った肉体としての絶対の才能。
「良いね」
「巨人族の寿命は我ら人間と同じ。右から32歳、ゴレゴア。戦闘経験あり。その次にノーマン。年齢は26歳。こちらも同じく戦闘経験あり。そして最後にラレシア。この子は最も若く12歳ですが、戦闘経験はございません。この中で唯一の女性であるラレシアの性的情報はお聞きになりますか?」
「いや、それは良いよ。興味はない」
巨人は10歳の段階でほぼほぼ体の成長を終える。
12歳であっても何の問題もなく巨人族として働いてくれるだろう。
「僕が求めるのは盾であって女ではない。この子を買おうか……僕もリーリエも若い。同じ程に成長できる子が良い」
猿轡を噛まされ、耳栓をつけ、目隠しまでつけされている三人。
そのうちの一人であるラレシアを僕は指さしながら口を開く。
「いくらだい?」
パンパンに金貨の詰まった袋を取り出した僕は店員へと訪ねた。
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