第24話
僕の些細な提案。
「そうね……いい加減割り切るべきなのかしらね」
それに対してリーリエが頷く。
「私が憧れたのは誰かの前に立ち、誰かを守る……そんな剣士。でも、それに私は向いていない。後ろで支えるのが私に合っている、か」
リーリエは少しばかりの苦笑を混ぜながら言葉を話す。
「私たちが今以上に活躍するなら……仲間を増やし、私が回復職に専念するのが一番か。それで?どんな人をパーティーに入れるつもりなの?」
「前衛職と魔法職。しっかりと敵の前に立って攻撃を受け止め、死なないだけの耐久力を持った人と、後ろで魔法を使って敵を殲滅出来る純粋な魔法使いが欲しいかなぁ。最優先は前衛」
「そうね。概ね私も同意見だわ。それで?候補はいるかしら?生半可な人間じゃ私たちの足を引っ張るだけだと思うのだけど」
「うんうん」
僕はリーリエの言葉に頷いて次の言葉を発する。
「ということで奴隷を買おうか」
「はっ……?」
僕の言葉を聞いたリーリエが驚愕の声を漏らす。
そして、次にその表情へと浮かべるのはどこか呆れたような表情であった。
「私の話を聞いていた?生半可な人間じゃ足を引っ張るだけ……奴隷にまともなのがいると思えないけど」
「ちゃんとそこはわかっているよ。でも……僕たちレベルの人間を今から見つけるのは難しいと思うんだよ。探すよりも自分たちで育てる方が早いと思うんだよね」
「……才能の問題もあると思うけど?」
結局この世界は絶望的なまでの才能の世界だ。
強さは才能に直結する。
「ふふふ。僕が何の考えもなく奴隷を提案しているとでも?」
「……まさか、またこの街全体に気配察知の魔法を広げているの?」
「その通り」
僕はリーリエの言葉に頷く。
この街にいる全ての人間の気配を掌握し、どれだけ鍛えているか、どれだけの強さかを完全に把握している。
対象がどれだけの才能を持っているか……という話は少しだけ精度が落ちるが、それでもある程度は把握出来る。
際立った才能の持ち主くらいは完全に把握可能だ。
「……相変わらずの化け物」
「気配の察知に関しては世界でもトップの自信はあるからね」
僕のは特別製なのだよ。そんじょそこらの気配察知と同じにしてもらっても困る。
「それで?奴隷に良いのはいたの?」
「もちろん。じゃなきゃ、こんな提案しないよ」
僕はリーリエの言葉に頷く。
「それでリーリエ。君は亜人差別主義者かな?」
「へ?」
僕の言葉を受け、リーリエが思わずと言った感じで疑問の言葉を漏らした。
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