第22話
メルボランの中でもかなり上位といえる料理店へとやってきている僕とリーリエ。
「無事にゴブリンの巣穴を掃討出来た事を祝って、かんぱーい」
「乾杯」
そんな僕とリーリエは共に自分の手にあるワイングラスを鳴らし、そのグラスを自分の口元へと持っていく。
「お酒、飲んでいいの?」
「問題ないよ。アルコールならば僕の魔法で分解出来る。健康を害するような結果にはならないよ」
僕は肩をすくめながらリーリエの言葉に答える。
「それじゃあ……ワインを飲む意味は?」
「何かこういう場はお酒を飲むイメージがあるでしょう?」
「まぁ、そうね」
リーリエは僕の言葉に同意する。
「にしても初めてやる二人の依頼だったのに信じられないくらい大変だったわね」
「そうだね……ヤバそうな気はしていたけど、まさかここまでとは思わなかったよ。一人で大勢を蹴散らすのが得意な僕らだからこそなんとかなった感あるよね」
ヤバい気はしていた……が、あそこまでの規模とは思わなかった。
まさかゴブリンの巣穴への気配察知があまり上手く行かなかった理由があまりにもゴブリンが居すぎて数を把握しきれなかった、とは思わなかった。
「そうね……少しだけ相性も良かったわ。という意味では巣穴から出ていったゴブリンの討伐を他の冒険者がやってくれて良かったわ」
「別に僕は逃げたゴブリンを索敵し、それを追いかけて倒すのも得意ではあるけどね?」
「私は苦手なのよ」
ゴブリンの巣穴へと攻撃を仕掛けた僕とリーリエ。
無事にゴブリンキングを倒し、後は巣穴から逃亡した多くのゴブリンを倒すだけ、っとなったのだが……逃げたゴブリンに関しては他の冒険者が既に対応に当たってくれており、僕たちはゴブリンたちの対処を他の冒険者に任せることができたのだ。
「まぁ、任せられるなら任せたいよね。僕たちは十分に働いたし……ふふふ。報酬金に期待だよ」
別に僕たちはギルドの依頼を受けて、ゴブリンの巣穴へと攻撃したわけではないが、街の治安にかなり関わる一件を解決させたのだ。
報酬金はかなり期待出来るだろう。
「まぁ、私としては別にお金はいらないんだけど……」
「え?それじゃあ、お金は僕の独り占めでいい?」
「待ちなさい。それは認めないわ」
「え?でもさっきお金はいらないって……」
「言葉のあやよ。もらえるならもらうわ」
「でもお金はいらないって」
「前言撤回するわ。やっぱりお金はいる」
僕の言葉に対してリーリエは力強い言葉でお金がいると断言した。
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