第19話
鼻につく実に不快な饐えた匂いにジメジメとした湿気。
鼻と触感だけでも吐きそうになるような空間には吐き気を催すとしか言いようのない酷い情景が広がっていた。
「……ッ」
僕は手を抑え、吐きそうになるのを我慢しながら目の前の光景に向き合う。
ゴブリンの精液が髪に絡みついてへばりついて固まり、秘部よりたらりと白い液体が流れ落ちている等間隔に拘束され、並べられている女性たち。
彼女たちはその誰もかもが死んだような目で少しばかりの身じろぎをするだけで、僕たちへと反応を見せない。
「ぎゃぎゃ!」
女性たちが捕まっていたゴブリンの巣穴へと入ってきた僕たちへと女性たちが捕まっている部屋を管理する役目があるのであろう数匹のゴブリンたちが襲い掛かってくる。
「……死ね」
僕はそんな数匹のゴブリンを塵一つ残さず消し飛ばす。
……。
…………。
なんと、言うのが正しいのであろうか。吐きそうになるのを我慢しながら僕は足を動かす。
「……これは、殺してあげるのが吉なのかも知れないわね」
「……そうだね」
僕とリーリエは部屋全体を見て歩きながら言葉を交わす。
死んでいるのか、生きているのか。
四分の三ほどは生きているようであるが、その他はお亡くなりになっており、一部のご遺体は腐ってさえもいる。
「誰からもの反応はない、か」
服を剥がされ、子種を植え付けられ、大きい小さいの差はあれど等しく全員がお腹が膨らんでいる女性たちは助けに来た僕たちに何の反応も示さない。
「……ねがい。……ころ、して」
いや、一つだけ反応が返ってきた。
「……ッ」
だが、それは死を願う懇願の一言。
静かに涙を流す女性の一人が僕へと自分を殺すよう懇願する。
「わかったわ」
「……待って、僕がやるよ。炎の魔法であれば僕の方が得意だから」
魔法を発動させようとしたリーリエを僕は止める。
「……でも」
「お願い、やらせて」
「……ッ、わかったわ」
僕の一言にリーリエは頷き、役目を譲ってくる。
「ありがとう……せめて、何の苦しみもなく逝かせてあげる」
最大火力。
一瞬にして最大火力を出す炎の魔法を僕は発動させ、この場にいる僕とリーリエ以外のもの全員を包み込む。
「……おやすみなさい」
一瞬にしてこの場にいた全員を灰へと変えた僕はそのまま彼女たちの灰を異空間へと収納。
「後で必ずお墓作ってあげるから」
「お疲れ様……その、大丈夫?」
「ん。問題ないよ。後はゴブリンキングらを倒し、巣穴の外へと逃げたゴブリンを倒していくだけだね」
「えぇ。そうね」
僕の言葉にリーリエは静かに頷いた。
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