第15話
リリシアとレミア商会のお偉いさんが退出し、僕とリーリエだけとなった応接室の中で。
「ねぇ、僕とパーティーを組んでよ」
僕はリーリエへと声を投げかける。
「え?」
二人が退出してすぐに飛び出した僕の言葉にリーリエは驚愕の声を上げる。
「そこまで驚く話でもないでしょう?冒険者としてリーリエと二人だけで話したいことがあるから、っと……リリシアさんたちには出ていってもらった。冒険者の二人で話したいことの筆頭にパーティーへのお誘いがあると思うのだけど?」
「まぁ、そうだけど……急だったから少し驚いてしまって」
「で?どう?」
「せっかくの申し出だけど……私としては」
「ちなみにだけどさ、僕は強いよ?」
リーリエの口から断りの言葉が出るよりも前にそれを遮って口を開く。
それと同時に濃密な殺気と魔法の数々をリーリエへと向ける。
「……ッ」
「八歳で、冒険者になったばかり。それでも僕はこの街で最も強いという揺るぎない自負と自信がある」
「そ、それはすごい自信ね……でも、そうね。確かに強そう」
僕の言葉にリーリエは冷や汗を垂らしながら頷く。
「ふふふ。でしょう?……僕ならリーリエの隣に立てるという絶対の自信がある。どうかな?」
僕の目的を達成させるにはリーリエの持っている力が必要となる……ここで彼女とパーティーを組むのがマストなのだ。
組めなきゃ終わる。
「そう、ね……」
「ずっとソロの冒険者として活動していくのも難しい……それはリーリエもわかっているはず。でも、自分と同じだけの実力者がなかなかいない。そんなところで現れた僕……自分の生家であるレミア商会との兼ね合いもあるしさ。どう?」
「……貴方、自分が貴族であることを隠そうとしないのね」
「貴族としての気品と教養。才覚は決して隠そうと思って隠せるものじゃないんだよ。それで?僕のパーティーメンバーになってくれる?」
「そう、ね……いや、断る理由もないし。断ったら後も怖い、か」
「ふふっ」
「その笑いが怖いわ……よし。ノームのその申し出を受け入れるわ。私を貴方のパーティーに入れて頂戴」
「よし。じゃあ、これからよろしくね。リーリエ」
「えぇ、よろしく」
僕が彼女へと差し出した手をリーリエは掴み、互いに握手を交わす。
「それじゃあ、早速だけどゴブリンの巣の掃討に行こ。僕たち二人ならどれだけ大きなゴブリンの巣でも問題なく攻略出来るよ」
「えっ?」
僕による再びのいきなりの申し出。
それに対してリーリエは驚愕の声を上げたのだった。
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