第12話
僕がゴブリンに襲われているところを助けた騎士たちと後からやってきたラリアさんたちが色々と話し合いをしている最中。
ゴブリンの返り血で汚れてしまった自分の短剣と外套の手入れをしていた。
自分の家から持ってきた僕の持っている短剣と外套は様々な魔法が込められた魔道具であり、大きさを自由にいじれるので育ち盛りの僕にピッタリの装備だ。
こいつらは僕が家出している間はずっと相棒として使い続けるつもりなのだ。丁寧に使ってやらねばならない。
「ノームくん」
「ほん?」
僕がせっせと手入れしていると、ラリアさんから声をかけられる。
「話し合いが終わったわ」
「あぁ、そうですか。自分の代わりにありがとうございます」
「私たちが先輩だもの。これくらいは頼って頂戴。それで今回助けて上げたお礼の話だけど街の方に戻ってから、ということになったわ。馬車の中にいたのはかなり大きな商会の娘さんだったみたいで、お礼は弾んでくれるそうよ……相場以上のお礼は確約させているから安心してちょうだい」
「なるほど。そうなりましたか……ありがとうございます」
僕はラリアさんの言葉に頷く。
貴族や商会の人間など、ある程度金を持っている人間が冒険者に助けられたとき、お礼としてお金を払うのが通例となっている。
この通例があるからこそ冒険者たちは率先して人助けを行い、治安の維持に貢献しているのだ。
「それで本題なんだけど、ゴブリンの巣窟の襲撃は中止になったわ。弓を持ったゴブリンが十体を含むゴブリンの群れを外に遠征させるだけの戦力を持ったゴブリンの巣窟はちょっと私たちの手に負えない可能性が高いわ。上位種がいる可能性もあるからね」
「なるほど……確かにそうかもしれませんね」
僕はラリアさんの言葉に頷く。
このままゴブリンの巣窟に襲撃を仕掛けるのは少し危険かもしれない。
「その代わりとしてこの襲撃で大きく戦力を減らしたあの人たちの護衛を私たちが務めることになったわ。そこそこの額の報酬がもらえることになったから、ちゃんと利益は出せる」
「おぉー。それは良かったですね」
「もちろん、ノームくんにもお金を払えるわ」
「それなら良かったです」
お金は大事だ……家から持ってきた分があるとは言え、それだけじゃ少々心もとない。
もらえるのであればもらいたい。
「向こうの準備が終わったところで移動を開始するから、それまでに準備お願いね」
「了解しました。わざわざありがとうございます」
僕はラリアさんの言葉に頷いた。
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