第9話
女性冒険者たちの魔の手から逃げるように冒険者ギルドを去って次の日の朝。
「ふんふんふーん」
僕は再び冒険者ギルドへとやってきていた。
朝から活動する冒険者は予め朝一から動かなくてはならない依頼の予定を組んでいた冒険者たちくらいで、ほとんどの冒険者は朝にギルドへと来ることは無い。
酒を飲んでどんちゃん騒ぎして二日酔いになって朝ダウンしている冒険者が多いのだ。
「あっ、ノーム君」
冒険者ギルドの中にいた冒険者は二人の男性と二人の女性だけ。
この四人のうちの一人が僕に気づいて名前を呼ぶ。
「ッ!?」
「ラリア。やめとけよ……あんま初心者いじめるのかよくねぇ」
「別にいじめようとしているわけじゃないけど……そうね。ちょっと昨日はテンション上がり過ぎちゃってたわ。ごめんね」
ラリアと呼ばれた女性を諌める男性の言葉を素直に受け止めた彼女は僕への謝罪を口にする。
「ふー」
それを受け、思わす身構えた僕は緊張を解いて息を吐く。
「それで?ノームくん。冒険者ギルドに何しに来たの?」
「こんな成りであっても僕は一応冒険者。依頼を受けるため以外にあると思いますか?」
「それもそうね」
僕の言葉にラリアさんが頷く。
「……ん?一人で?」
「まぁ、そうですね。こんな弱そうな僕とパーティー組んでくれる人居なさそうですし……しばらくはソロで活動しようと思っていますが」
「大丈夫なの?それ」
「大丈夫ですよ、自分はそこまで脆弱な人間じゃありませんから」
「うーん」
僕の言葉を聞き、なおも不安そうにしているラリアさん。
そんな彼女は良い案を思いついたとでも言いたげな表情で再び口を開く。
「ノームが良かったらなんだけどさ。私たちと一緒にパーティー組んでみない?」
「え?」
「私たちが昨日のうちに受けた依頼はちょっと遠出が必要な依頼にはなるんだけど……それでも難易度自体は比較的簡単だし、ノーム君にもいいかもって思うんだけど」
「え?」
「他のみんなもいいよね?」
ラリアさんが他の三人へと確認の言葉を投げかける。
「おう」
「良いぞ」
「構わないわ」
三人はラリアさんの言葉にすぐ頷く……そもそもこの四人でパーテイーだったんだね。
「なるほど……」
「どうかしら?」
ここでラリアさんたちに自分の有能性を示しておくべきか……自分がちゃんと冒険者出来るだけの実力があると。
「自分にとっても為になる話ですし……ぜひ、よろしくお願いします」
僕はラリアさんの申し出に対して頷き、美しい一礼をしてみせた。
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